3話 ゾーン
両親とは最近よくケンカをするが、なんだかんだ失いたくないもんだなと思った。
そんな気持ちを嘲笑うかのようにヤツは俺の周りを飛び回っている。
嫌な音が重複して聞こえてきた。
もしやと思いよく耳を澄ましてみると、ヤツは一匹ではなかったことに気づく。
(素手では俺には捉えることができない!何か武器はないか?)
周りを見渡すと、そこには赤点だらけのプリントの山を見つけた。
その山から数枚とりだし、クルクルと丸めて武器としたのだ。
しかし、武器を使ってもヤツらを捉えられることはできない。
(このままじゃ、ヤツらにこの家を乗っ取られてしまう。それだけは阻止しないと!)
すると、俺は目を閉じ集中した。音は敵の音しか聞こえないレベルに神経を研ぎ澄まし、ヤツの位置が手に取るようにわかる。
(これがゾーンってやつか、なるほど体軽いし、やつの動きが手に取るようにわかる。
ココだ!!)
当たった!!
だが、その一撃の軌道上に予期せぬものがあった。
それは、お茶の入ったコップだ。今更軌道を変えることができず。コップにダイレクトに当たってしまった。
コップは小さなテーブルから落っこち、俺のお気に入りのマンガと服の上に盛大に撒き散らした。
「駆逐してやる。一匹残らずな!!」
自分の口から溢れ出た言葉に自分自身驚いた。
だが、一匹倒した!残り一匹倒せば平和が訪れる。
すると、背後から
カサカサという音が…