いわゆる昔語りというやつです。
完全なるその場の思いつき作品。一応更新は一時間おきに行い、21時に完結予定。最後まで読んでいただけると嬉しいです。
それとそんなことよりメインの方を進めろという意見はスルーの方向で…。
訂正:22時の完結になりました。
その少女は死をまき散らす。
どうして少女がそうなったのか明確な理由はわからない。気付いたらそうだった。まさにそんな感じだ。
ある朝少女は声をかけた。「おはよう」と。
声をかけた人が死んだ。
次に少女は助けを求めた。「助けて、人が倒れたの」と。
やっぱり声をかけた人が死んだ。
少女が声をかけた人はみんな死んだ。
だから彼女は黙っていることにした。
それからしばらくして少女は殺されることが決まった。
理由は少女が人を殺す魔女だと判断されたからだ。
処刑人の人が少女の元へやってきた。
処刑人は少女を連れて行こうと強引に腕をつかんだ。
そうして処刑人は死んだ。
処刑人が少女に触る。処刑人が死ぬ。
何度か繰り返したのち、少女は自主的に処刑場へ向かうことにした。
少女の処刑は少女を触らず、少女が声を上げないものという条件のもとで行われた。
少女を溺死で殺そうとする。執行中突然装置が壊れた。装置が壊れたせいで漏れた水に足を滑らせ頭を打った誰かが死んだ。
少女を打ち首で殺そうとする。執行中剣が折れてあらぬ方向に飛んで行った。誰かが死んだ。
少女を直接殺せないなら餓死で間接的に処刑しようとした。執行中少女は空腹に苦しんだ。それからしばらくして少女の周りでは餓死者が急増した。
少女は自身にもたらされる死の要因をすべて他人に押し付けるようになった。
ここにきてようやく少女が自分たちの手に負えないと周りは理解した。
周りの人たちは皆少女にここから出て行ってくださいと懇願した。
少女はみんなの元から出て行った。誰にも迷惑をかけない場所を求めて。
途中盗賊に出会った。
少女は何もしない。
盗賊たちはいやらしい笑みを浮かべながら少女に触れる。
触れた盗賊が死んだ。
盗賊たちは突然のことに警戒をするが少女はやはり何もせずただ盗賊たちをぼーっと眺めるだけ。
そうして気付いたら盗賊たちが皆死んでいた。
途中魔物と出会った。
魔物は少女に気付くと警戒しつつ少女を遠巻きに見る。
少女は魔物に気付き魔物の方を向く。すると一瞬だが少女と魔物の目があった。
そうして魔物は死んだ。
どうやら少女は視線を合わせるだけで命を奪えるようになっていたらしい。
少女は求めた。誰にも迷惑がかからない場所を。できるだけ自分が奪う命が少ない場所を。
少女は歩く。暗い道を。生き物のいない道を。
そうして長い旅の果てに少女はようやく見つける。
死者の国を。
命亡き者たちの楽園を。




