4話:物理無効
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俺は目の前のケルベロスを前に、悟りを開いた気がした。
死ぬ直前というのはこんなにも思考がゆっくり流れるものなのかと。
そういえば、あの騎士二人は完全に俺を陥れてきたな。
理由はわからないけど、他の騎士たちと違って訓練も積極的じゃなかった。
じゃあ、あいつらが言っていた俺のステータスというのは本当なのだろうか?
やけに何列も『※※※※※』が並んでいたのは、もっと何かあったからじゃないのか。
そうだ、少し焦っていた。
冷静に考えて見れば、いまならそう思える。
なんかもっと違う力とか? でも石は召喚できるし。
とりあえずデカイの召喚できればあんな犬っころ、何とでも出来るが……こう、頭上からドン!みたいな感じで。
そして、俺は目の前で起きた事に驚いた。
ギャフンッ、という鳴き声を最後に、巨大な岩の塊に押しつぶされていたのだ。
視界を覆い尽くすほどの石を小石とは言わない。つまり、奴らは嘘をついていた。
って、あれ?
倒しちゃったの?
もしかして助かったのか?
すると少し、身体の中が熱くなるのを感じた。
この現象は、レベルが上がった時に起こるものだ。
「ステータス起動」
我ながら、死ぬ一歩手前にいたというのに、いつのまにか唱えていた。
だが、画面の文字は読めない。
「これ日本語にならないか?」
そんな自動翻訳機があればどんなにうれしいことか。
すると、ステータス画面が一新されて、日本語が浮かび上がった。
「は? なにこれ? 勝手に……」
もちろん俺の独り言が発端だったが、まさかただの画面が反応するとは思わないではないか。
そして、体力や能力の数値などが日本語と数字で一覧になっている。
モノノベ コウセイ
勇者Lv.4(↑Lv.2)
すばやさ(5)
筋力(6)
体力(10)
固有スキル:物質支配【Lv.2(↑Lv.1)】
恐怖耐性Lv.1
となっていた。
能力の数値が上がっていた。
それに物質支配?に召喚Lv.2となっていた。
一つ上がったけど、支配って何?と思い、画面をスライドさせる。
すると、
『物質支配』
・【物理無効】 Lv.1
斬撃無効
打撃無効
刺突無効
熱無効
麻痺無効
電気(磁気)無効
水無効
毒無効
・【物理操作・強制】Lv.1
物質操作・強制
空間操作・強制
光・電磁気操作・強制
重力操作・強制
水流操作・強制
・【物理召喚】Lv.2
物質召喚
物質転移
以上の物質支配(【物理無効】/【物理操作】/【物理召喚】)は、有機生命体を除く//
なんか俺の能力は石コロ召喚どころではなかった。
勇者として召喚された俺に、生物以外の物質を完全掌握する力が宿っていた。
だが、能力の分類?はあるけど、スキルの解説は最後の一文だけだった。
「有機生命体か……って物質との違いは何だ?」
生命体の定義は、なんか生物で習った気がする。確か人間と動物、あと植物とかかな。それは支配できないってことか?
この有機?ってついてるのは……。
うろ覚えではあるが、試してみれば問題ないか。
このステータス画面が切り替わったのは、操作・強制によるものだろうか?
ステータスは世界から何らかの物質として目の前に画面とっして出力されているらしい。
まあ細かいことはいいや。
さっき出した石は召喚だよな?
とりあえず、俺は一つずつ試してみることにした。
ステータスの値を変更(6/2)
一部、使用されている単語(言葉)を変換(6/3)
ステータスの解説用語を無機物限定から有機生命体に変更(6/4)
Lv.の表示方法を変更