3話:小石召喚
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「そ、それは……」
そういって女性騎士は男性騎士の肩を叩いた。
「ああ、これは『小石召喚』って書いてあるな。レベルは……まだ1(『Lv.1』)だ」
「なっ!?」
俺は読めもしないステータスの表示をなんとか確認しようと目を凝らす。
だが、読めるはずも無い。
「ざ、残念だったわね……。じゃあ、画面をスライドしてみて」
女性騎士の営業スマイルに促されて、俺は画面をスマホみたいに操作する。
「ここには能力の解説があるの。どうやら、『イメージした小石を形状問わず呼び出せる』そうよ」
それを聞いて、うなずいてはみるものの、がっかり感は否めない。
もう少し、『※※※※※』がいくつも並んでいるようには見えるから文字数が合わないと思うのだが、俺にはこの世界の文字が見えないし、二人が嘘をつく理由も無いはずだ。
石を召喚して何が出来るのか?と聞かれれば、日本なら水きりするのに石を拾わなくていいとか、その程度だ。
ましてや魔王だとか魔物なんて相手に出来ない。それどころか……、
あちらこちらから、クスクスという笑い声が聞こえてくるのだ。
明らかに自分より下のやつがいたことで、安堵して俺を見下し始めているようだ。
これじゃあ、腐った日常を変えられないじゃないか……。
そうこうしているうちに訓練へとはいっていく流れになった。
その日から、能力や武器を使った訓練が始まった。
俺はまず普通の小石を召喚してみた。
「あたっ!」
どうやらまだ出現場所をコントロールできなかったために、頭上に召喚してしまったらしい。
いや、小石だったからか、痛くはなかったが。
もう一度集中してやると、手のひらに収まる小石が現れた。
これで、投げて攻撃しろってことかな……。
まだ、魔物とは戦っていないが、不安が募っていった。
クラスメートたちがバンバン魔法を使う中で、俺は不安だけが募っていた。
訓練ではなぜか騎士の二人はあからさまに俺の訓練には真面目に取り合わなかった。
挙げ句、「魔物なんて小石で大丈夫」とか楽観的なことを言っていたが、そうとは思えなかった。
だから、武器の形をしたいろんな形状の小石を召喚できるようにだけはしておいた。
他の生徒を見ていると、魔法をかなり使って訓練していた。
スキルとかで剣や槍の武器を使えばいいのに、魔法が中心になっている。
そして数日が経ったある日、いよいよ全軍による魔王のいるダンジョンへの総攻撃が始まった。
ダンジョンがあるのは森の中で、王城から少し離れた森の奥にある洞窟。そこにダンジョンへの入り口がある。
俺は騎士の二人についていき、ダンジョンの中を歩いていったところ、脱出不能の小部屋へと放り込まれた。
戻ろうと、扉を叩いてもびくともしなかった。
まるで何かに操作されているみたいに、ダンジョンが中のものを閉じ込めたのだ。
――そこで冒頭に戻ると言うわけだ。
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