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童話シリーズ

ぴょん太のせいじゃない!!うさぎのぴょん太のお話

 むかしむかし、森のはずれに、ぴょん太という小さなうさぎが住んでいました。ぴょん太は元気いっぱいで、飛び跳ねるのが大好き。でも、ひとつ困ったことがありました。


 ぴょん太は、何かイヤなことが起こると、すぐに誰かのせいにしてしまうのです。


 ある日、ぴょん太は森の中でおいしそうなにんじんを見つけました。「わーい!」と喜んでかじろうとしたその時、うっかり足をすべらせて、泥の中にドボン!


 ぴょん太はぷんぷん怒って、「これはカラスのカーコのせいだ!」と叫びました。「カーコが大きな声で鳴いたから、びっくりして足をすべらせたんだ!」


 カーコは「えっ?ぼく、ただ歌っていただけだよ」と首をかしげました。でも、ぴょん太は聞く耳を持ちませんでした。


 次の日、ぴょん太は大きな木の下でお昼寝をしていました。すると、突然風が吹いて、木の葉がざざーっと落ちてきました。ぴょん太の頭にカサカサと葉っぱがかぶさります。


 ぴょん太は飛び起きて、「これはリスのリリーのせいだ!」と叫びました。「リリーが木の上でドングリを落としたせいで、ぼくの上に葉っぱが降ってきたんだ!」


 リリーはびっくりして、「えっ?わたし、ドングリを落としてないよ」と言いました。でも、ぴょん太は「ぜったいリリーのせいだ!」と言って、ぷんぷん怒ったまま走っていきました。


 そんなある日、ぴょん太は森の奥で遊んでいました。すると、急に大きな雲が出てきて、ぽつぽつ雨が降り始めました。


「たいへんだ!ぬれちゃう!」


 ぴょん太は木の下にかけこみました。でも、すぐにびしょぬれになってしまいました。すると、ぴょん太は「これはクマのクーのせいだ!」と叫びました。「クーが大きいから、ぼくの前を歩いたときに風をおこして、雨をこっちに呼んじゃったんだ!」


 クーはのんびりと、「ぼくが歩いたくらいで、雨は降らないと思うけどなあ」と言いました。でも、ぴょん太はふくれっ面をしたままでした。


 そのとき、フクロウのおじいさんが木の上から「ぴょん太や、おまえさん、いつも誰かのせいにしているようじゃのう」と言いました。


「だって、みんなが悪いんだもん!」ぴょん太は言いました。


 フクロウのおじいさんは、ゆっくりと話しました。「でものう、おまえさんがすべって転んだのは、ほんとうにカーコのせいか?おまえさんが木の葉をかぶったのは、ほんとうにリリーのせいか?雨にぬれたのは、クーのせいか?」


 ぴょん太は考えました。でも、すぐに答えれませんでした。


 フクロウのおじいさんは続けました。

「おまえさんは、本当はわかってるはずじゃ、それに、おまえさんは自分で立ち上がり。自分で葉っぱを払い。自分で雨宿りをした。ということは、おまえさんには、自分の力で変えることができることが、たくさんあるのじゃよ」


 ぴょん太は目をぱちくりさせました。「ぼく、自分で変えられる?」


「そうじゃ。だから、なんでも誰かのせいにするのではなく、自分でどうすればよかったかを考えることが、大事なのじゃ」


 ぴょん太は考えました。そして、少し恥ずかしそうに言いました。「ぼく、ちゃんと足元を見ていれば、すべらなかったかもしれない……リリーのせいじゃなくて、風のせいで葉っぱが落ちたんだ……雨が降る前に、ちゃんとお家に帰ればよかったんだ……」


 フクロウのおじいさんは、にっこり笑いました。「その通りじゃ。ぴょん太は、ちゃんと成長しているのう」


 それからというもの、ぴょん太は何かイヤなことがあっても、すぐに誰かのせいにするのをやめました。そして、自分で考えて、できることをするようになりました。


 森のみんなも、そんなぴょん太を見て、「ぴょん太、変わったね!」とほめるようになりました。


 ぴょん太はちょっぴり照れくさそうに笑いながら、「うん、ぼく、がんばるよ!」と言いました。


 それからも、ぴょん太は元気いっぱい飛び跳ねながら、すこしずつ成長していきました。


 おしまい。



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