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第9話

「皆、行くぞ!」

「「「おう!」」」

((((双逆ふたさか手綱たづな!))))

幸治こうじが呼び掛けると同時に守途すず真帯まおび星奈ほしなと共に双逆の手綱を発動させた。

「狼狽えるな、勝機はある。行くぞ!」

((((双逆の手綱!))))

間流まりゅうが激励すると岩彩がんさい葉波ようは無結むゆうと共に双逆の手綱を発動させた。


「ふん!」

「がは!?」

幸治は間流まりゅうの拳を避けたつもりが何故かそのまま直撃して頬と口から大量に出血した。

(こいつ!?こんな細身なのに何て怪力だ。不意を突かれたとはいえ一瞬意識が飛んじまった)

「幸治君!」

「そら」

「かはっ!」

幸治が面食らっていると守途が加勢しようとするが無結むゆうに阻まれ強烈な一撃をくらった。

「守途さん!くっ…。皆!助け合ってる余裕は無い。先ずは目の前の敵に集中しろ!」

「了解!」

幸治は一瞬、守途を見たがかぶりを振って皆に集中するように促した。守途、真帯、星奈はその一言に一切の迷い無く頷いた。


「うら!それそれそれ!」

「ぐっ…がはっ…げほっ…」

幸治は間流の攻撃を避けているつもりが何故か全く避けられないでいた。

(くそっ。何で全部避けられないんだ?まるで幻覚を見せられているみたいだ。ん?待てよ、見えているのに避けられない。つまり視覚が操られているのか)


「ふふっ…。俺の能力に気付いたような面してるな。だが俺の能力はそんな単純なものじゃないぞ」

「本当にそうかな?」

間流が不適に笑い幸治の目の輝きが増した。

バチっバチチと音が響き幸治は体の表面を強烈な雷で覆った。


「その程度の電撃がどうした、俺の打撃のダメージの方が大きいぞ」

「それはどうかな?」

「ふっ、試してみるか?ふん!」

(掛かった。視覚が使えないなら触覚だ俺の体に触れた瞬間に全力の雷を流してやる)

バリッバリバリバリ!間流は幸治の策に動揺すること無く不適に笑い迷わず幸治の腹に連打を浴びせた。


「がはっ!?何だと!?」

「残念だったな。お前は死ぬまで俺の能力を理解出来ない」

幸治は想定外の事態に心身共に大ダメージを受け腹を抑えて蹲った。

(何でだ?能力は死んだら分かるもの?一体何なんだ?近くに仲間がいるせいで広範囲の技も使えない。どうすれば良いんだ…?いや、待てよ…!そういうことか!)


「そらそらどうした?手も足も出ないか?」

「ぐっがはっぐはっ…。まだまだ…」

幸治は間流の能力に翻弄されているかに見えた。だが次の瞬間、幸治は自分を中心とした直径4mに雷の膜を発生させて間流の不意を突いて雷を浴びせた。すると間流の体内に雷が浸透した。


(妙だな。確かに雷撃を喰らったはずなのにちょっとピリッとした程度で殆どダメージが無い。何か狙いがあるのか?警戒した上でこのまま押しきらしてもらうか)

「来いよあんたの動きはもう見切った」

「負け惜しみか?では遠慮なく行かせてもらうぞ」

間流の踏み込みに合わせて幸治がやや後に下がり迎撃の態勢に入った。そのまま乱打戦になり何と幸治は間流の動きを全て読み押し勝った。


「何…だと…?一体どうなってる?何故、俺の動きが読めるんだ?」

「センサーだよ。そうだな、技の名は雷感らいかんとでも言おうか。それでさっきあんたの中に仕込んだ雷から電波を受信してあんたの脳の電気信号から予測した数秒先の動きを把握してるのさ。因みにあんたの現在位置もセンサーで丸分かりだ。そしてあんたの能力はあらゆる知覚を数秒遅れさせるって所だろ。俺が能力を解除するか気を失うまであんたの中に仕込んだ電気は消せないし取り除く事も不可能だ。あんたは敗ける。無意識に臆して慎重になりすぎたせいでね」


間流は幸治の返答を聞いて青ざめて頭の中が真っ白になった。その隙を突いて幸治は間流に雷蹴いかづちげりで心臓を貫いた。

(俺は…こんな所で…終わるわけにはいかないんだ!)

間流の双逆の手綱の胸の紋様の結び目がほどかれ半透明の白い心臓が形成された。間流は目を閉じて瞼を開いた。その瞳には銀色の光が灯っていた。間流の手首から白色のマシンガンが生えてそれをしっかりと握った。間流の創躯そうくが開眼したのだ。


「ヴォォォー!!」

「くそっ。仕方ない、暴走するかもしれないがこっちも創躯を使うか……ウッ…ウウ…オオォォォー…!はぁ…はぁ…はぁ…」

幸治も創躯を発動してぎりぎりの所で意識を取り戻し息を切っていた。幸治は創躯に体が馴染みきっていないため強い眠気に襲われたが辛うじて理性を保っている状態だ。

名刀響暁雷めいとうきょうきょうらい

幸治は手首から刃に金色の刀が生えてそれをしっかりと握って頭の中に浮かび上がったその名を口にした。すると響暁雷に雷が纏って力強く輝いた。


ダダダダダッ。幸治は雷感を駆使して間流のマシンガンの弾を響暁雷で辛うじて往なして弾き少しずつ距離を近づけていった。

「ヴォォォー!」

(理性を失ってる分、弾の軌道は単純で読みやすい。正気に戻られる前に一撃で片をつけたい所だな)

「これで終わりだ!」

幸治が響暁雷を振り下ろしビュンッと風を裂く音が鳴った。間流は反射的に左手で軌道を反らしてその左手に小さな傷が出来て少し出血した。


「はっ…!」

間流はその痛みで意識を取り戻した。そして反射的に幸治と距離を取り自分が創躯を発動していることに気付いた。

(ははっ。そうかこいつらが来る少し前まであの部屋の機械から遠隔操作でこっちの機械にデータを受信してたんだったな。おかげで創躯を習得出来たぜ)

間流は一瞬ニヤリと笑った。


(まずい。意識を取り戻された。慎重に戦うか?いや、恐らく創躯の練度はこちらが上だ。ここは一気に攻めよう)

不感無風ふかんむふう

間流がそう言うと幸治はマシンガンの気配を完全に見失い弾道の予測制度が半減した。そのせいで幸治に弾が当たり始め一気に形勢が覆った。


(これがあるから早く片をつけたかったんだ!もう弾を出来るだけ弾きながら強引に行くしかない)

「うおぉぉぉー!」

「やっぱりそう来るよな」

幸治はなりふり構わず銃弾を弾きながら真っ直ぐ突進するように距離を詰めていった。間流はそれに合わせ照準を足に合わせながら後に下がった。

天雷迅てんらいじん!」

幸治は間流が足を撃つ時に出来た一瞬の隙を突いて雷の如く一瞬で響暁雷の射程まで距離を詰めた。


「しゃあ!」

「うおっ!ごぷっ」

幸治はそのまま渾身の力で間流を斬り雷鳴が轟き雷でそのまま焼き焦がした。間流はそのまま倒れ立ち上がる事すら出来なくなった。

「お前の勝ちだ。じゃあな、絶対敗けるなよ」

「言われなくても敗けるつもりはないよ」

間流は安心したように笑いそのまま力尽きた。


代理戦まで残り17日。

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