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第13話

「うっわ!?何頭いるんだよ!?」

幸治こうじ達は研究施設から出ると目の前には視界に入り切らないほどの砂豹達がいた。おそらく、その数5000頭はいるだろう。その光景に幸治は度肝を抜かれ気付いたら叫んでいた。

「逃げるぞ!こんな数相手にしてたら神殿に着く前にバテちまう」

真帯まおびが即断して皆に呼びかけた。

「幸治君、足に創核を1割だけ集中させて地面を蹴るイメージで走って。あと出来るだけ前に跳ぶイメージで」

守途すずは幸治に指示するとそのまま全員音速で駆け抜けた。

すると足で蹴った地面が抉れてハッキリと足跡が残った。幸治は最初、一歩走る度に不思議な浮遊感に戸惑っていたが1分も経たない内に慣れていった。


守途が言った走り方は浮爆ふばくというものの一つで創核を集中させた箇所が接触した所を物凄い衝撃で瞬時に反発させる技だ。地面を蹴れば力加減と足の角度次第で高速移動や大ジャンプを、生命に当てれば骨も簡単に粉砕する威力をほこる。


幸治達は砂豹達を音速で1時間走って振り切り砂漠に佇む魔の神殿の前に到着した。

「ふう。思ったより時間がかかったな、全然余裕だけど。でもま、気を引き締めないとな」

バシッ。幸治が顔を手の平で軽く叩いて気合を入れた。

「そうだね」

守途は幸治とは対照的に程良く落ち着いた口調で呟いた。


 「私はちょっと疲れたかも。ちょっと休憩〜」

「まあ、音速であんだけ走ったら疲れるわな。あの2人の体力が異常なんだよ」

星奈は岩の上に腰掛けため息を吐き真帯は幸治と守途の底知れぬ体力にちょっと引いていた。

幸治達は3分程休憩すると早速、魔の神殿に歩を進めた。その際守途は扉の前の小さな窪みに創玉そうぎょくが落ちているのを見つけてすかさず拾った。


扉を開けるとギィィーと甲高い音が響きバタンッと重い音を立て扉が勝手に閉まった。

魔の神殿に入ると真っ暗闇だったが直ぐにどこからか明かりが灯った。

「今までのとは少し違うな」

「ん?おい、お前ら瞳が光ってるぞ?」

「真帯こそ。っていうか皆、創躯そうくを発動してる?」

「自動的に使わされてる?一体どういう事だろう?」

幸治が独りごちると真帯が異変に気付き星奈と守途が首を傾げた。


(ふふふ、初めまして私この神殿の主、紅錬ぐれんが説明致しましょう。ここでは創躯を使わないと何も感じる事が出来ないのですよ。そして創躯を保てる時間は30分、その間に私がいる最奥の間に来なければ永遠にここから出る事が出来なくなります。早くここまで降りて来てくださいね。では後程会う事を心待ちにしていますよ)


「シャー!」

「ピーヒョロヒョロ!」

「キュルキュル!」

紅錬の説明が終わった直後、影蛇かげへびー影が実体化して蛇になった者ー、影鷹かげたかー影が実体化して鷹になった者ー、影鯱かげしゃちー影が実体化して鯱になった者ーが一体ずつ突然現れて襲い掛かって来た。


「時間が少ないのにいきなり戦闘かよ!?」

「ここは出し惜しみなく全力で突っ切るぞ皆!」

響曉雷きょうきょうらい!」

吸源緑刃きゅうげんりょくば!」

「インスピレーションが湧いてきた!三波さんは太刀たち!」

鳳炎ほうえん!」

幸治は響曉雷ー雷で形作った刀ーで影鯱を焼き切り、守途は吸源緑刃ー巨大な緑の鎌ーで影蛇の創核を吸収して枝葉のように干からびさせ、真帯は三波の太刀ー衝撃波を凝縮して強引に形作った即興の太刀ーで影鷹を衝撃波を放って撃ち落とし、星奈は鳳炎ー炎を凝縮して形成した紅い薙刀ーでその影鷹を焼き斬り灰にした。


「「「「うおぉぉー!」」」」

幸治、守途、真帯、星奈はそのまま武器を振るいながら全速力で走った。

(!?)

だが、影のモンスター達は1秒も経たない内に完全に再生し、幸治達は一瞬、愕然とした。

「止まるな!突っ切るぞ!」

幸治達は影のモンスター達の攻撃を受けても走るのを止めず残り時間10分という所で最奥の間の扉の前まで辿り着いた。


扉の前には影騎士かげきしー影が実体化して出来た西洋の鎧を纏った者ーが剣を構えて待っていた。

「門番ってか!?上等だよ殺ってやらぁ」

真帯が気合を入れて影騎士に突っ込んだ。

「俺と守途さんで後ろのモンスターを引き付ける。その間に真帯と星奈は前の門番を頼む!」

幸治は真帯に一瞬遅れて指示をして星奈が真帯に駆け寄って加勢した。幸治と守途はそれと同時に後ろの影のモンスター達を足止めした。


幸治と守途はおよそ300体の影蛇、影鷹、影鯱を相手に戦ったが数の利で劣る分次第に傷だらけになっていった。

一方、真帯と星奈は影騎士を挟撃して的を上下に散らして少しずつダメージを与えてはいるが決定打に欠ける。 

「いくぞ!」

「うん!」

そこで真帯の合図で星奈が火の粉を散らし真帯がそれを衝撃波の膜で包んだ。火の粉は影騎士の傷口に付着し血管の中に入った。

「“混創輪派こんそうりんは刹那せつな爆裂ばくれつ!」

すると影騎士から大きな破裂音が鳴り響き爆発した。


「「「「今だ!」」」」

幸治達は影騎士が怯んだ一瞬の隙を突き一斉に最奥の間に入った。そこには紅い羽根で出来た頑強な鎧を着た青年が立っていた。紅錬だ。顔はシャープで目鼻立ちがくっきりしていて肌は真っ白だ。

「ふふふ、ようやく来ましたね」

紅錬が構えを取り目をギラつかせ微笑んだ。

「人?今までのボスはモンスターだったのに今回のボスは人なのか?」

幸治達は目を点にして呆気に取られた。

「人ではありませんよ。私は姿を自由に変えられるので一番気に入っている姿になっているだけです。しかし、何度見てもその驚くリアクションは面白いですねぇ」

紅錬はケラケラと笑い一呼吸した。


「では、いきますよ」

「「「「応!」」」」

幸治達は気を取り直し一斉に斬り掛かった。それに対し紅錬は顔を引き締め指から血を滴らせそこから紅い剣を作り出した。そのままそれを握りしめ瞳はいつの間にか紅く灯っている。創躯の開眼である。

御剣みつるぎ

紅錬がそう呟き創核を溜めた。

「やっぱそう来るか」

「気を付けろ、何か狙ってるぞ!」

「皆!跳んで!」

真帯が神経を張り詰め幸治は大声で叫んだ。守途は足を少し屈ませ大声で跳ぶ準備を促した。


幸治達が跳び上がったのと同時に紅錬は血の御剣を横に振り抜き血の斬撃が横一文字に飛んだ。

「散りなさい」

幸治達は斬撃を避けたかと思われたが血の斬撃が弾け1000個に分裂して幸治達に向かって逃げ場を塞ぐように飛び散った。

幸治達は創躯の武器で必死に血を弾いたが体中傷だらけになり膝を着いた。

「がはっ!」「ごふっ!」「がぁっ!」

「げほっ!」


幸治、真帯、守途、星奈は吐血して意識が朦朧として立つことすら困難な状態になった。

「血抜きはこれくらいで良いでしょうかね。せめて綺麗な状態で埋葬してあげますよ」

「「「「うぉぉぉー!」」」」

紅錬が哀れみの目でそう言うと幸治達は叫び命の灯火を燃え上がらせるように創核を振り絞って飛び掛かった。


「素晴らしい!少し楽しくなってきました」

「「「「喰らえ!!」」」」

幸治達は阿吽の呼吸で連携を取り紅蓮に反撃の隙を与えまいと怒涛の攻撃を仕掛けた。幸治、守途は腕と足に斬り掛かり真帯は紅錬の攻撃の軌道を衝撃波で無理矢理反らし星奈はピンポイントで紅錬の頭を絶え間なく発火させ続けた。

「まだ甘いですね。実に惜しい。そら!」

紅錬が苦笑して飛び上がり幸治達が追ってきた隙に血の斬撃を飛ばし幸治達を斬った。


「貴方達のの連携は実に読みやすい。単純ですね。連携の経験が乏しいとみた。ですが今の内に殺さなくては少しまずいですね。ふふふ」

雷墜らいつい!」

「がはぁっ!?」

「笑ったな。ようやく隙が出来て助かったよ」

紅錬はギリギリの挑発をしたつもりが逆に幸治の攻撃が速くなり一瞬の隙を突いた精神力に目を瞠った。そしていつの間にか火の粉が体の中に入っている事に気付き青ざめた。

バゴォン!空間が揺れる程の大爆発が起き紅錬は思わず膝を着いた。


「認めざるを得ないようですね。私も本気を出しますよ。創躯そうくきわ血煙ちけむり…」

紅錬はそう言うと床が大きく揺れ空気が張り詰めた。

「やばい」

「「「「!?」」」」

揺れがおさまり気付いたら紅錬は角が二本生えた猛々しい鬼のような表情の血煙の鎧武者と化して幸治達の腹を貫いていた。

「「「「ごふっ…」」」」

幸治達はドサリと倒れ完全に意識を失った。

(何だ?光る玉?これは…前に見た事があるような…)

幸治が無意識に手を伸ばして掴むと玉の輝きが増してはっきりと意識を取り戻した。


「何だ?力が漲る…。まだ死んでない?皆もか」

幸治は一呼吸置いて周りを見て自分達が生きている事を確認した。

「って何だその姿?」

幸治達はお互いを見て大声をあげた。次に各々が自分をよく見て変化に気付いた。

幸治は忍のような蒼雷の服を着て蒼雷の刀を手に髪の毛が逆立っている。体もバチバチと音を立て蒼雷と化していた。守途は蔦で覆われたローブを身に纏い緑が濃くなった巨大な鎌を持っている。体は美しい緑色に変色していた。真帯は白い霧のような色合いの着物を着て白く光る太刀を持っている。そして体全体は白いシャボン玉のような膜に覆われており体が半透明になっていた。星奈は燃え盛る蒼炎の着物に包まれ手にはメラメラと燃える蒼炎の薙刀を持っている。体は蒼炎と化してゆらゆらと揺れている。


「それが創躯の極みです。今回は極限の生存本能で開花したようですね。実はその力の会得の条件はまだ解明されていなくて完全に賭けだったんですよ。いや~緊張しましたよ。貴方達には見込みがあります」

紅錬は一息ついて顔が綻んだ。

「ウォーミングアップでもどうかと思いましたが、疲れたでしょう。無理も良くないのであちらの台座に創玉を置いてあそこの光の輪で帰りなさい」

紅錬は元の姿に戻り微笑んで台座と光の輪を指差した。


「そうさせてもらいます」

「今回は相当ダメージが大きいからな」

「帰って早く花湯に浸かりたーい」

「そうだね。もう殆ど創核が尽きかけてるし」

幸治は紅錬にお辞儀をして真帯は頷き星奈は腕をダラリと下げ守途は嘆息した。皆ヨロヨロと台座の前まで歩き創玉を台座に置いて目を瞑り手を合わせた。10秒程経ち目を開けて次は光の輪の中までヨロヨロと歩いた。すると占いの館まで一気にワープした。


代理戦まで残り15日。

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