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あの日バーベキューセットから上がった極彩色の炎を俺は生涯忘れない

作者: 春暁ゆとり

 某何とかさんのおもちゃを見ていたところ、いえ、嘘ですね。正直に述べましょう。嫌儲に、バーベキューについてのツイートが転載されていました。

 バーベキューでは男共が空気を読まずにちゃっちゃと火を付けちゃって面白くないわという女の子の主張が話題に上っていました。彼女いわく、もっと雑談をしながら楽しみたいと言うのです。

 確かに、バーベキューの火起こしなんてものは我々男性にとっては単なる作業で、記憶に残るような火起こしの思い出なんて私にはありません。


 ただの1回を除いて。


 そう、今回の本題は、私の幼き日のバーベキューの思い出です。インターネット論客との熱いバトルではありません。ごめんね。


 あれは確か中学の、1年の終わりごろの日だったと思います。私は何だったかのお祝いか何かで部活のobのお宅にお呼ばれしていました。一人暮らしの大学生のお宅です。


 説明をすると、私の出身校はいわゆる中高一貫というやつで、当時中1だった私は高等部の2年3年の先輩と、あとコーチという名目で多少のバイト代をもらいながら遊びに来ていた大学1年生の先輩と、狭くて妙に暑い部室で扇風機を抱えながら青春の一部を過ごしていました。

 高校の、しかも上の方の年齢の生徒と中1ですから、最早大人と子供です。可愛がってもらえたのは自然な話でしょう。


 ともかく、そんなこんなで大人の遊びに混ぜてもらった中1の私は、先輩のお家のそう広くないベランダでお肉を頂くことになりました。

 最近のバーベキューでは火起こし用の円筒状の燃料があったり、そもそも着火しやすいような炭を使ったりしますが、当時にはなかったのか、一般歴ではなかったのか、火起こしは原始的な方法で行う必要がありました。


 そう、火薬と油です。


 いつもどおりの穏やかな口調で花火とガソリンがあるよーと言い出した先輩。


 夜もふけねむねむにゃんことなりつつある私を他所に先輩は、和気あいあいと安全性について議論を重ねます。


 やはり男子校。男たちにとって火起こしなんてものは単なる作業です。

 楽な方に流れるのは自然なことだったのでしょう。


 哀れなバーベキューセットは炭の隙間にギチギチに花火を押し込められ、上から油を撒かれてしまいました。


 念のために閉められた窓ガラスの向こうで見慣れた極彩色の光を放つバーベキューセット。

 バーベキューセットの見慣れない場所から四方八方にあってはいけない白や緑の光が飛び出していきます。

 そして盛大に燃え上がる炎。


 純朴だった私は、高校生というのは随分とやんちゃなんだなあと思いました。


 あの光景を忘れることは将来忘れることはないんだと思います。


 お肉の味? 覚えてるわけないじゃないですか。

随分と前の出来事なので多少のフィクションが含まれていますが誇張はありません。

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