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[ルートB B'] シチリア会談




コツ コツ コツ コツ




「久しぶり、カルロッタ」



「___まぁ座れよ」



「どうも」





ギギッ





「さて、この紅茶は飲んでもいいものか」


「今警察が動いてる中、毒入りの紅茶でも飲ませればそれこそカルロッタは無期懲役行きだ」


「よって安全なものとみなして頂くことにするよ」



「警察の注意を引く為に私の屋敷に来たな」



「率直に言おうか。

そうだとも。

巻き添えを食らわす為にここに来てやった」



「このクソが。

いつぞやのお前の方がまだ好きだったぞ」



「お前は元々私が嫌いだったろ。

鬱陶しくて、何の役にも立たない無能、そう思ってたろ」


「オマケに吃音症と来た。

そんなやつにヘイトが向くのは必然のことだ」


「だから嘘をつかず、しっかりと認めろよ。

私を見下してたってな」



「ドンのくせに間違いだらけだな。

お前は卑屈になって、被害者ヅラしてやがるただのピエロだ」


「吃音症がなんだ。

そんなの乗り越えて生きてる立派なやつだっている」


「それをお前は____」



「説教を聞きに来たんじゃねぇ、カルロッタ。

もうあの頃の私はいねぇんだよ」


「ミスコを壊滅させた時から、私は一段階退化しちまった」


「わかるか?

暴力でコントロールすることが何より効率的だって知っちまったんだ」


「1度味わった蜜の味は忘れられないんだよ」



「...」


「情けない」



「あ?」



「また被害者ヅラしてやがる。

そう言って一体何になるんだ?あ?」


「どうした、お涙頂戴女。

今まで嫌なもんぶっ壊してここまで来たんだろ?」


「じゃあ最後まで泣き言言ってないで全部ぶっ壊して潔く散れよ」


「カラビニエリも、イタリア軍も、チンピラも、マフィアも、全部ぶっ壊して散っちまえばいいんだ」


「そうすりゃ文句はねぇだろ」



「...」


「久しぶりに会うとやっぱり興奮してしまうな。

だめだ、だめだ」


「話を戻そう。

私はここに来てポッジョーリの締めつけも厳しくさせに来た。だがもう1つ、目的がある」


「...」


「それはスパイの回収だ」



「...はぁ」



「その様子だと、知らないみたいだな」


「カスターニョ」



「....」


「なに」





「今ここで血祭りをあげるか、私と来て奴隷になるか。

どっちにする」



「おい、こん中でそのダイナマイト使うなよ」



「それはこいつの返答次第だ」



「...」


「奴隷って、何をすればいい」



「私のためならなんでもしろ」



「...」


「いいだろう」



「...」



「よし、じゃあさっさと行こう。

その前に酒を何本かもってこい」



「....」



「...カスターニョ」





_ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _




「....うっ、....くぅっ.....」



「おい」



「...!」


「ベレ....」



「泣かれながら別れを言うのはごめんだ」



「...」



「もしこの世の中に天国があれば」


「必ずそれと対称的な地獄が存在する」


「地獄の中で天国を探せ」



「それと、これ」



「....なんだこれ」



「コードバンのレザージャケット。

覚えてるか」



「....あぁ」



「着てけよ、こいつかっこいいんだから」



「....」



「あばよ、辛い時は派手に暴れてやれ」




_ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _


「待て、カスターニョを殺すのか」



「殺す、か。

せいぜい働きアリになってもらうだけだ」



「保証はできるのか。

万が一、この子が死体となって帰ってきたら許せねぇ」



「だったら、監視員でも付けときゃいいだろ。

敵のスパイを保護するような馬鹿なボスは居ないがな」



「...」



「私が監視員として同行する」



「あざみ」



「なんだかんだ言って、あいつは警察署から助けてくれたしな。借りを返す」



「...」



「そっか。

じゃあ、行ってきなさい」


「安心して、今のサリエリは絶対に君を殺したりしない。さっきも言った通り、締め付けが厳しくなっているからだ」



「それから、これ」



「なんだ、この大量の携帯電話」



「警察から発信源を特定されないように、電話をする度別の機種でするためだ」


「報告をし終わったら二つに割って捨てるように」



「.....わかった」




_ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _



[同行 一日目]




同行、一日目。


カルロッタから大量の携帯電話とその他持ち金を渡され、サリエリの車に揺られて約30分が経過しただろうか。



カスターニョは何も言わず、ただ人形みたいに助手席に座っているだけだ。



「どこに行く」



「...」



「聞かせろよ、私を殺そうとしたくせによ」



「何の話だ」



車を運転しながら、サリエリはそう答えた。



「とぼけんじゃねぇ。

映画館で私とシャロを______」



「あー思い出した。

あの時のコックローチか」



「あ?」



「怒るなよ、まだ旅は始まったばかりだ」


「まぁ教えてやるが、これから自家用ジェットでアメリカに飛ぶ」



「なんだと」



「だから、飛ぶんだよ。アメリカに。

そこにツテがある友人を介してニューヨークのマフィアにこの粉を全部売りつける」


「ざっと60000ドルってとこだな」


「そしてその金で組織を再建。

シチリアはおろかイタリアを支配してやる」


「ははっ」







「ぶっはははっ!」




「ははぁっ! フォオオオオオウ!!」




「Vamos!!!」




_ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _




「ダメだ、あいつは気が狂ってる」


「これから自家用ジェット機に乗ってアメリカに飛ぶんだとよ。

こんな馬鹿な話あるか?」



[あいつは莫大な金を持ってる。

できないことでは無いな]



「...それよりあざみ、カスターニョは」



「あぁ、今んとこは無事だ。

でもあいつ、ほんとに何するか分からない」







ガッシャャヤン







「なっ」



[_____あざみ、今の音は]



「通信終了、またかけ直す」




バキッ


ポイッ





タッタッタッタッ






「...は?」



目の前に広がる世にもおぞましい光景。


それはガソリンスタンドにて、リアガラスに血まみれで頭を突っ込んでるカスターニョの姿だった。






















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