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[ルートB B'] カスターニョという女

「...いや、いい。

やめとく」



そう言って、重厚な鉄の扉を閉めた。



「なんだったんだ、あいつ」



なんだか違和感を感じすぐに部屋を後にしてしまった。


くすねた酒もそこに置いてきてた。



少し居心地が悪かったのか、外の空気が吸いたくなった為玄関から外に出る。



今日はもっぱらの快晴で、日差しが暖かかった。



玄関前の芝を横切り裏に回る。



すると、小さな畑のような、綺麗に耕された茶色の土が見えた。



「...カルロッタ、じゃねぇよな」



「ちげぇよ」



突如として背後から現れた作業服の眼帯女。



汚れたピンクのゴム手袋を付けながら、小さいスコップを持って立っていた。



「あんた、ここで何してんだ」



「お前こそなんだ。

ここは私の畑だ」



「なに、あんたが畑?」



「あぁ、こんな腐れでも趣味はあるのさ」



私を横切り土に座り込む。


ザクザクと無心で土を掘り返すのだ。



「なぁ、あんたが畑なんて信じられない」



「じゃあ信じなくていい。

妹みたいなこというな」



ザクッ ザクッ



「さっきから何してんだ?」



「土起こし。

お前農学部じゃないのか」



「違う」



「そうか」


「畑はいい。

こいつらはなんにも喋らずただ生きることに熱心だ」



「...」



「人間より偉いぜ、こいつら」







_ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _



2006 7/6





「よお、お前ここで何してんだ」



「...」



「答えろよ。ここは今日ポッジョーリが貸し切ってんだ」


「わかってんのか。さっさと出てけ」



「...」



夜中の、ちょうど晩飯時。


そいつはいた。


コードバンのレザージャケットなんか着ちゃって、パブのど真ん中のテーブルで酒を飲んでいやがった。


右頬にはじんわりと少し滲んだガーゼが巻かれていて、顔中アザだらけだった。


その日、確かパブは貸切で、ミスコ家との休戦の交渉をする予定だった。


だがそいつはそこにいた。



私は直ぐにパブの店主に問い詰めた。


どうやら、朝っぱらからこんな調子らしい。


朝の3時からだ。


考えられねぇ。



ボス同士の会合だ。


このままだったら、私が責任取らなきゃなくなる。


それは私自身嫌だった。


だから、強硬手段に出た。



一緒に連れてきた4人の部下とそいつをテーブルごと取り囲んで



「なぁ、どかねぇのは勝手だが、血見るのはお前だぞ」



そう言ってやった。


部下達も銃をチラつかせてビビらしてた。


正直いうと、あの場所で銃を見せても使うことなんてとてもじゃないができたことじゃなかった。


撃ったら撃ったでどこかしらに銃痕が残って、察しのいいミスコのどいつかが気づいちまう。


それでこの店は安全じゃないと判断され、その場で会合はお開きになる。


だから見せるだけでよかったんだ、あの時は。



それでも女は酒を優雅に飲んでやがる。


ブチ切れた部下の一人が思いっきり右頬をぶん殴った。


そう、ガーゼを巻いた右頬だ。



すると女は吹っ飛んで隣のテーブルに打ち付けられた。


そしてテーブルも派手にぶっ壊れた。



「...」



それでもなお無言を貫き通す女。


腹が立って、倒れた隙に腹を蹴ろうと私も全力で足を振った。



あれは、サッカーボールを蹴るぐらい強かったはずだ。



「_____おらっ....!」




ボグッ





「(...入ったな)」




グググッ




「なっ」



「(こいつ、片手だけで私の蹴りをっ)」




グインッ




「うお、おお....!」



すると女は、私を引き寄せ両手で持ち上げやがった。


それをでっかいガラスの窓の前まで運んで



「....よ、よせっ!」





ガッシャャャャンッッッ






ぶん投げやがった。



まるで耳ん中で鐘が鳴ってる気分だった。


しばらくまともに息も出来なかったし、放り出された歩道に自分の血の水溜まりが出来ていた。



「う、うぉおっ.....っいってぇ......」



「カスターニョさん!だいじょうぶで_____」






ガッシャャャャンッッッ






2発目







「お前ら...!」






ガッシャャャャンッッッ





3発目






「うわ、やめろやめろ_____」






ガッシャャヤンッッッ







4発目。




気づくと私の周りには、あの4人の部下が血を流してぶっ倒れてた。



4人ともだ、全員。



手榴弾で吹き飛んだみたいだった。




「....っ、誰だ、お前......」




そう言うとその女はぶっ壊したガラスから覗いてこう言うんだ。












「教えてくれ」













って








_ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _










_ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _





[_______午後のニュースです。

13時50分頃、サリエリ・コロッチォの邸宅で大規模な爆発がありました]



「.....」



「証拠を残さず全部消して逃げたか」



「....ここもいつかは」



「ボス...!」



「どうした、エスカ」



「サリエリの乗ってる車がこっちへ向かってるとのことです...!」



「...は?」


「それは確かなのか」



「はい、しかもサリエリ自身が運転してるらしいです」



「....」


「アリーを地下へ。

構成員は全員集合させろ、ベレもだ」


「全員武装準備だ。

ただし、屋敷の外を警戒する者はハンドガンをポケットの中に絶対隠せ」








「...な、何が起こるっていうんだ....」














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