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[ルートB] 破滅の挽歌













[______臨時ニュースです。

今朝、チゼータ警察署の前に重症の刑事二人が倒れているのが発見されました]



[被害者は全身の打撲や、________]




「.....」



「クソッタレ」



「大変なことになったな。

これから私は外出自粛だ」



「なんでだ」



「昨日のこれはえらく大きな騒ぎだからね。

この件に関わったマフィアのボスが堂々と表を歩けるわけもないだろう」



「...」



「そんな顔しない。

ことが冷めたらアリーと三人でヴェネツィアにでも行こう」



「大量の護衛をつけてね」



「...はぁ」



_ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _



昼下がり。



あくびが出るほど暇な昼下がり。



私はとうとうベッドから体を起こし、屋敷を探索することにした。



外では警察が嗅ぎ回っていて私とカスターニョもしばらく外出もできないらしい、



「...大学どうするかな」



必死に努力したあの大学も、この世界に入ってからは意外とどうでも良くなってしまったのかもしれない。



だってもう、日本に帰っても帰らなくてもなんとも思わないのだから。



「(案外ここが気に入っちまってるのかも)」



カルロッタの部屋を出て、大階段を降りる。



ここで最初にシャロに出会ったんだっけか。



今でも手すりに寄りかかってタバコをふかしてたあの姿が目に浮かぶ。



まるで、昨日までそこに居たかのように...



そうだった。



ここでは誰かが突然消えてもおかしくない世界だった。



「...」



目を覆い階段を降りきった。



すると、カルロッタが私に人を殺させたあのバーが目についた。



あんなこともあったな、と思いながらカウンターまで進むと誰もいなかった。



ただ、年代物のバーボンやウイスキーが置かれているだけだ。



カウンターの椅子を眺めていると、全て赤色で統一されてるのに一つだけ青色の椅子があった。



その席は、確か私が殺した男が座っていた席だった。



突如、脳内に私が人を殺した一部始終が流れ込む。



その時、私は両手を強く握りしめていた。



「...」



「(クソ、なんだかあの時のことを思い出すと腹が立つ)」



「(カルロッタのウイスキー、二本でも貰ってくか)」



そう思い、カウンターの奥に入った。


中は倉庫みたいに暗かったが、予想通り高級そうな酒がじゃんじゃん見つかる。


「30年モノのスコッチか。いいね」



私が手に取ったスコッチ・ウイスキーは奥の方にあった。


そしてここから先も奥が続いている。



「(奥に行けば行くほどいいのがあるらしいな)」



予想通り。



もっと古い、腐って飲めないんじゃないかって言うほど古いのもでてきた。


ただ、その通路にも終わりが来る。


その終わりに、鉄みたいな重そうなでかい扉があった。



「...」



ドアノブはなく、潜水艦の扉みたいな丸いハンドル。



明らかにやばそうな雰囲気だったが、好奇心が勝った私はその扉を開けた____



_ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _


ボッチィエト病院______



「...いてて」


「ていうか、刑事。

ダメですよ、病院でタバコなんか」



「個室だからいいじゃろ」


「っゲッホゲホェ....!」



「それと、肺が潰れかけたんですからタバコ自体ダメでしょ」



「...ええじゃろ、勝利の一服」



「まぁたしかに私達の勝ちっちゃ勝ちですけど...」



「これから奴らは締め付けが厳しくなって、こっちが優勢になるからな」



「ようやくカラビニエリも動き出しましたよ。

やっぱりこういう事やらないと本部も動かないんですね」



「...それはともかく」


「これからどうしますか。

まぁポッジョーリもサリエリも関係なく捕まえて___」



「血だ」



「...はい?」



「奴らの血が必要だ」



「というと?」



「私はな、なにもマフィア共を逮捕したい訳じゃない」


「根絶やしにしたいんじゃ」



「....」



「これは一度お前に言ったことあるはずだがな」



「...」



「...フェルナンダ、シロアリ共を巣から根絶やしにしろ」



「私も、すぐに行く」


_ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _




ギギギギギギ



「...重、てぇ」



ガチャッ




「...ふぅ、なんなんだここ」



中は部屋だった。


人1人住めるような部屋だった。


というより、住んでいると思う。


乱雑に置かれたカセットテープに錆びきったベッド。


テーブルには大量の空のペットボトルが置かれていた。



「汚ぇ」



そして左サイドにはロッキングチェア。


頭が見えた。


人だ。



「(私が入ってきたの気づいてないのか?)」


真横からその顔を見る。



目は開いてた。


だが目の前のケーブルテレビを眺めているだけだった。


生気を失った、細胞が活動を辞めたような、そんなガラス玉のような目玉で。



「...なぁ」



声をかけても動かない。



試しに肩を叩いてみる。




すると、一瞬ビクッとビックリしたような仕草を見せ、私の方をゆっくりと眺める。



「...」



「...」



「悪い、勝手に入って」



「...」



「(なんか喋れよ)」



「...酒を、探しに来たのか」



「あ、あぁ」



「...ここに酒はない。

先の通路に探しに戻るんだ」



「私はこれからポルノ映画を観なきゃならない」



「...ポルノ?」



「...そう。

少しでも股が濡れたり顔が熱くなれば生を実感出来るから」



「...お、おぉ...」





「...お前も観るか?」



「...」







[A' 観る]



[B' 観ない]







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