[ルートB] 役者さんたち
カチッ
ピピッピ
チャラララ〜
[7時になりました、天気予報のお時間です]
[チリアーコがお送り致します]
[まず、トスカーナ州は......]
「....」
カチッ
______まず、話をまとめよう。
無理やりイタリアに連れてかれた私はマフィアに歓迎される。
そして、マフィアに気に入られシャロという女とアリーの3人で色々と遊び回った。
そして、どこからか来た暗殺者に銃で撃たれ2ヶ月も昏睡状態。
治療費も、あのキノコ頭の女に山ほど取られて給料を前借りすることになった。
...なんだこれ。
私は殺されにイタリアに来たってのか。
「....はぁ.......」
_ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _
「...ボス」
「なんだ、エスカ」
「さ、サリエリからです...」
「....へぇ」
ガチャッ
「もしもし、カルロッタ」
「久しぶり、サリエリ。
急だな」
「あぁ、いつだって物事は急だ。
普段はお前になんか電話はしないが、どうしても話したいことがあってね」
「なにもてめぇなんかと話すことなんてねぇのさ。
私の娘を殺そうとしたろ」
「まぁ落ち着けよ、その話だ。
元はと言えばお前んとこのシャロが悪いんだろ?
私の貯金をごっそり持っていきやがって」
「そうか、そのことに対して私はこう言いたいね。
自分の財布くらい自分で握ってろってな」
「サリエリ、見損なったぞ。
そんな事で子供を抗争に巻き込むとはな。
近々誰かそっちに寄越すからお前覚悟しとけよ」
「夜中も出歩かない方がいい。
背中ががら空きだ」
ガチャンッッッ
「....ふぅ....」
「....ボス」
「エスカ、カスターニョにアメリカから武器を今までの二倍輸入しろと伝えろ」
「は、はい」
「....っ」
息を吐き尽くしロッキングチェアに腰をかける。
10年前。
何が違ってこうなってしまったんだ。
「...なぁ」
「サリエリ」
_ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _
___2000年5/9 ______
[そ、それでさ、カルロッタはいつイタリアに返ってくるの]
[んー、まぁ仕事が終わり次第だけど、夏までには帰ってきたいな]
[そ、そっか。
じゃあ、し、シチリアの女集めて、パーティしようぜへぇ]
[...あのなぁ、お前普段そんな話し方しないだろ。
第一噛み噛みじゃん]
[ご、ごめん]
[普通でいいの、普通で]
[...]
[かカルロッタ]
[なに]
[その、お土産にさ。
あ、アメリカのパナマ帽を買ってきてくれないかな]
[パナマ帽?
アメリカ産の?]
[そう、お、おかしいよね]
[いいけど、そんな高いのは買えない。
あんまり期待はしないでくれ]
[あ、ありがとうカルロッタ。
やっぱり帰ってきたらシチリアの女を]
[はいはい、じゃサリエリも元気でな]
ピッ
[...]
_ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _
「おい、一般人は立ち入り禁止だ」
「リンダ刑事じゃバカタレ。
どこに目つけてんだ」
「あ、すいませんでした」
「どけや」
「あ、はい」
「....」
「おい、リンダが来るなんて聞いてないぞ」
「どうも本部が要請したらしい。
何考えてあの刑事呼び戻したんだか...」
「すまん、店員さん。
現場はどこですか」
「6番の劇場です」
「おう、ありがとう」
コツ コツ コツ
ガチャッ
「リンダか。
今の状況説明だが...」
「いらん。てか現場荒らすな」
「え、でも遺品を回収しないと」
「それが現場荒らしてる言うとるんじゃ。
さっさと鑑識どかせ」
「....こんなのが許されると思うなよ」
「本部が好きにやれって言ってんだ。
こっちの好きにさせてもらうわ」
「だから出てけや」
「このクソ刑事が...!」
「...行くぞ」
「......あぁさっさと出てけっての汚職警察共が」
「ったく。
誰も死んでねぇのに遺品回収ってか」
バタンッ
「すいません遅れました、刑事は...」
「ここじゃ。
何分遅れてんだお前」
「すいません...(2分だけじゃん....)」
「だめだ、後で私の始末書書いとけ」
「いや...えぇ...」
「ところでフェルナンダ。
その足元にあんのはなんだ」
「え....うわっ」
ベチャッ
「ちょっとリンダさん、そんなもん拾わないでくださいよ...!」
「何言ってんだ、これこそ有力な証拠だ」
「カルロッタ検挙まであと少しじゃ」
_ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _
「ジャンゴ、ダビ。
君らほんとにシャロ殺せたの?」
「...」
「あの、答えてくれないとこっちも困るんだけど」
「....すいません、まだ、生きてるみたいです」
「え、なんで?」
「自分自身、胸には当たったと思ったんです。
でも、劇場の暗闇でよく見えなくて...」
「しょーもない言い訳すんなよ。
ガキじゃねぇんだし」
「あのさ、こういう暗殺が成功するやつってどんなやつだ思う」
「成功するためには何でもする、全力を尽くすってやつがこういう仕事をこなすんだよ」
「自ら墓穴ほりに行くような間抜けじゃない。
てかそんな間抜けにはなし得ない」
「まぁそんな間抜けに頼んだ私も間抜けってことになる」
「とりあえず服脱いで外出てて」
「え!?
ドン、ちょっとまって.....!」
「黙れ、私はさっさと間抜けだったことを隠したいんだ」
「えーとお前、そいつら脱がして裏の畑に座らして」
「あと、そいつとそいつと、そいつ。
あ、あのオールバック野郎も」
(それと、こいつと、えー....そいつと、そいつとそいつ)
「な、なんで俺も」
「私が間抜けだったことを知ってるからだ」
「それだったら、この部屋全員消えることになるぞ!?」
「あ、うん。消すよ」
「あのさ、この世界じゃ当然のことなんだからいちいち喚かないでくれない?」
「君スターリンって知ってる?」
「なに」
「かつてのソ連の指導者だよ」
「彼はね、人を殺したことがないらしい」
「は?」
「だってさ」
「国民を数字で見てたんだから」
パァンッ
「______それと一緒」