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面倒な友だち

連続投稿です

ある日の幼稚園、黙々と本を読むシャインの前にかの乱暴者が立ち塞がった。


「なんか用かい?乱暴者くん」

「ら、乱暴者とは失敬な!世はこう見えてこの国の王室が一子、ジョーニアスだぞ‼︎」


 なんと王族の子供だったか。めんどくさそーとは思ったがそこまでだったか。この星では王族には特に権力はないが平和の象徴として国民に大切にされているのだ。インドとかのゾウやウシみたいな感じだとシャインは思っている。


「これはすみません王子様。で私めにどんな御用で?」

「なんだその喋り方は…もっと友だちっぽく話せ!」

「友だちっぽくって…」

「今日から世とお前は友だちだ」

「えー?」


 無理矢理友だちにされてしまった。


「でだ。友に相談があるのだが…」


来たよ。無視して本を読んでいるのにジョーニアスは構わず話し続ける。どうやらこういうことらしい。

 ジョーニアスも幼い頃から自身の光子力含有量は知っていたそうだ。その多さに振り回されることも多く、癇癪や乱暴といった形で表に出るのが本人の悩みだった。王家はおおらかなので4歳になれば幼稚舎でコントロールを覚えるだろうと今まで放任主義だったそうだ。そこが一番問題なんではないか?


「天才のお前に光子力の制御の仕方を教えて欲しいのだ」

「えー?大丈夫だよ、幼稚園にいれば先生が教えてくれるんじゃない?」

「世の含有量は一般人が相手をするには危険だ」


 あ、自覚はあるのね。本来なら専門の家庭教師を雇うべき事例かもしれないね。


「実は3歳頃に国の機関に頼んで家庭教師をつけようという話もあったのだ。だが忙しいというので断られた。」

「へえ、なんで?」

「もっと手のかかる生徒を今見ているからだと断られたのだ」

「ほかに家庭教師はいなかったの?」

「大人の倍の光子力を相手にできる教師などこの国にはリリィ=マグナス以外にはおらん」


 リリィ=マグナス。俺の母ですね。そんなに偉い人だったのかー。ちなみに父のフルネームはマグナス=マグナス。俺はシャイン=マグナスね。

そっかー俺のせいかー。それは仕方ない…。


「わかったよ教えるよジョーニアス」

「ジョーでいいぞ。よろしく頼むシャイン!」


にっこりと右手を差し出すジョーにイヤイヤながら手を差し出すシャイン。

こうなったら母からされた制御訓練を全てぶつけてやろう、と心に決めるのであった。

 すると横から女の子が一人。


「あたしたちも混ぜて!」


 初日にスカートめくりの坊主を殴っていた女の子だ。気が強そうで姉を思い出させる。正直苦手なタイプかもしれない。その子の後ろにもう一人女の子がいた。初日にジョーニアスに乱暴されて助けを求めた女の子だ。…いかにも守ってあげたくなるタイプの可憐な子だ、とシャインは思った。


「…こないだは悪かった。申し訳ない」


ジョーは後ろの少女を見た途端すぐに誤った。こういうところは王族らしい振る舞いだなぁ。


「…いいわよ、光子力の制御ができないとああなるんでしょ?あたしも小さい頃から手が早くてお母さんに幼稚園でしっかり習いなさいって口を酸っぱくなるほど言われ続けたもの。」


勝気な方の女の子が答える。いや、君に謝ったわけじゃないと思うんだけど…

シャインは後ろの少女に聞いてみる。


「君も僕に習いたいの…?」

「私も…強くなりたい。泣いてばかりなのはもういや。」


なんか切実な答えが帰ってきた。


「よろしくシャインくん。あたしはルビリン。この子は…」

「クレオです。よろしく…」

「ルビリンにクレオか。よしシャイン、まずは何をする?」


やれやれ、と重い腰を上げるシャイン。


「まずは自分の光子力の確認だね。お腹に力を込めるイメージで…」


シャインは幼い頃の反省も込めて丁寧に教える。初期段階で調子に乗ると体内に熱がこもってしまうことを思い出しながら。


「簡単に体内に余ってる光子力を散らすには空を飛ぶ・念動力を使う・光線を発射するというのがベストかな?でも人によって向き不向きがあるよ。うちのママは光線より治癒が得意だっていうしジーンねーねは格闘技に夢中で光線なんか出したの見たことないし」


 するとちょっと光子力を体内で回して練るコツを教えたらジョーがビームを発射した。

結構な威力だ。幼稚舎の光子力バリアーが瞬時に反応する。

…園の先生にめっちゃ怒られた。主にシャインが。先生たちはシャインの光子力量を知っているからこんな威力のある光線はシャインしか撃たないと決めつけてるのだ。


「…解せぬ」

「何むずかしいこと言ってんのよ。あたしもビーム撃ちたい」


勝気なルビリンは一所懸命ビームを出そうとするがなかなか出ないようだ。多分ルビリンは身体強化系なんじゃないかって思う。姉に似てるし。で、クレオを見ると…クレオの手のひらからは温かい癒しのウェーブが出ていた。回復系が得意ならしい。しかしクレオの表情は冴えない。


「私もビームで悪い奴をなぎ倒す戦士になりたいのに…」


理想の能力とは違ったようだ。


 ジョーには体力強化とビーム発射を日課にすると気持ちが落ち着くよ、とアドバイスし、あきらめきれないルビリンとクレオにはビームの出し方をあとでくわしく教えることになったシャインだった。


次回はまた未定です。

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