光子力
連続投稿です。
マグナスの家はその地方の治安を任されていた言わば駐在所のような場所だったので住居は屋敷と呼べるくらい大きく、使用人もそれなりにいた。
シャインにも乳母代わりの専用メイドが存在した。メイドはおっぱいが大きくシャインもマグナスもお気に入りだった。リリィの視線が痛い。
おっぱい好きなのは仕方ない中身は28歳社畜なのだから。
そんなこんなな感じで乳幼児期を幸せに過ごした。
シャインが2歳を迎える頃、一緒に自分の本を読み聞かせてくれる兄ユリウスのお陰でこの世界の文字が読めるようになっていた。シャインは貪欲に家中の書物を読み漁り始める。なんせ中身は社畜のサラリーマン、生き残る為の知識を収集するのに必死だった。まだ2歳なのに生き急ぎすぎだろう。
「にーちゃ、にーちゃ、こうしりょくってなーに?」
シャインは聞きたいことを兄に質問しまくるようになっていた。我が家では兄ユリウスが一番物知りだったからだ。
「光子力っていうのはね、僕らの身体に流れる第2の血液だよ。いろんな超能力の元になる力さ」
(ふうん、リンパ腺みたいなもんか?エネルギーになるものなら気功のようなものかな?異世界転生でいうとこの魔力みたいなものだろうか?本によるとこの世界の人間の特殊能力の源のようだし、訓練次第で鍛えられる力らしいしついでに鍛えてみるか。せっかく転生で得た力だし)
シャインは2歳でこれから自分の光子力を鍛えようと決めた。せっかく異世界転生したのだ、のちのち楽して生きたいではないか。
まずはへそに意識を集中して光子力を全身にぐるぐる巡らせるイメージで。気功を回す要領だ。前世ではよくこれをやっていた。ちょっとイタい大人だったのだ。
すると幼児ながら全身に暖かい力が巡っていくのを感じる。光子力は言わば太陽の力だから体内に流れ出すと暖かい。なるほど。シャイン覚えた。
シャインの体温が光子力の循環のせいで熱くなっていく。顔もなんだか火照っている、
「シャイン?! 」
熱でボーっとした弟の顔を見て兄ユリウスが慌てて母を呼びに行く。
次にシャインが目を覚ますと母の薄めの胸の谷間に抱かれていた。乳母のでっかいのと違って残念な胸だ。たが何より安心感を覚える胸だった、
「まだ2歳なのに勝手に光子力を練ろうとして光のエネルギーにあてられちゃったみたいね」
「ごめんね母さん、僕がシャインの質問に安易に答えてたから。…」
「いいのよ、子供はこうやって失敗しながら育って行くものよ。シャインはちょっとやり過ぎるとこがあるけどね。注意して見ていきましょう」
額を撫でる母の手が気持ちいい。この手が暴走した光エネルギーを散らして治療してくれたらしい。さすが治癒能力のエキスパート、シルバークロスの一員だ。母の手はシャインにとって絶対的な安心感をもたらした。シャインはこの母リリィが大好きだった。
こうやってシャインは幾つかの失敗を繰り返しながら己の体内の光子力を鍛えて行ったのだった。