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ナナケトマクロ 小説版  作者: Mattuo
8/11

就職

あれから数日後、この町での生活も慣れてきたころ、俺はマリに呼び出されマリ家に来ている。


「どうだ?この町も悪くないだろ?」


まだほんの数日しか経っていないが素晴らしく自堕落な生活をさせてもらっている。最高に快適な毎日だ。

毎日こんな感じがいいな〜

「最高に快適だ」


余計なことは言わない主義なので何もせずニートでい続けたいことはもちろん言わない。

そんなことはつゆ知らず少し嬉しそうなマリねえさん


「お前が以前言っていた職についてだが私の隊に来ないか?」


ん?マリってこの町を守ってるんだよな?

つまり俺はこの町を守るために戦ったりするってことか?

さらには戦うために日々鍛え上げていくってことか?

つらそ…


「マリの隊の仕事について詳しく聞いてもいいか…」

「そうだな…主に、町の見回りと訓練だ」

「…え?そんだけ?」


「あぁ基本的にはな。そういえば伝えていなかったがこの町にマクロは入ってこれない。初代マツオ王がマツオの加護によりこの町を守ってくれているそうだ」

「それじゃほとんど戦うことはないってことか?」


「そうだな。この前町の近くに現れたマクロ退治が久しぶりで、その前だと3年前だな

 だからほとんど我々が戦うことはない

 我々が戦わずに済むということは平和の象徴でもある」

3年前。マリが大きな失敗と言っていた森林調査の時だろう


「そうか…この町自体をマクロが襲いにきたことは?」

「私の知る限りそんなことはおこっていない」

「ほじゃこの町は安全なんだな…少し安心したよ」


「まあ今のところはな

 それにしても、毎日マクロにビビりながら生活してたのか?笑

 それはなんだか申し訳ないことをしたな」


「ビビリな性格なんでね。毎日ちびりそうな思いだったよ」

「それにしてはだいぶ怠惰な生活をしていたようだが?」

「むむ…バレてたか…ちゃんと働くので許してください…」


俺は半ば強制、マリの運営する会社に入社することとなった。


オトッツァン。

オカッツァン。

オラガンバルデナ。

ショニンキュウデイイモンカッタルデナ



-------------------


入社して数日が経った。


会社についてほとんど教えてもらっていないがとりあえずブラック企業って感じはしない。

定時に帰らせてくれるしパワハラみたいなのもない


とりあえず今日も出社しよう


毎朝俺達は南門付近に集合することとなっていて、到着したタイミングで声をかけられた。


「おはようですですです!マカイ!今日も一日頑張るですですです!」


「おはようございますですです!今日も一日よろしくですですですでですですです!」


こい…おっといかん先輩に向かって「こいつ」とか言ってしまう所だった。気をつけなければ…


こいつはマリョウ=カヤ。

俺専属の上司らしいが年は近そうだし、話し方もおかしいからあまり上司だとは思ってない。

基本的にわからないことがあったらこいつに聞かなければならないのだがとても苦痛だ

パワハラではないがこいつの存在自体がパワハラみたいなもんだ。


とりあえずテンションは合わせてるが本当に鬱陶しい。


「今日はなにするんですですです?」

「今日はあまりやることないので妹をしょうかいするですですです!」


今日「は」だと?

いつも暇だろうが

こいつは本当にアホなんだろうか


そういえびどこかでカヤという名前聞いたことがあるような…


そんなことを考えていると大きな声で呼ばれた。


「マカイ!久しぶりね!あなたもウェルカ隊に入ったのね!訓練は厳しいけどあなたも頑張りなさい!これからよろしくね!」


おぉ…目の前に仁王立ちしている少女はいつしかのメルーさんだった

確かに2人ともアホそうで兄妹って感じするかも…


「え!?メルー!マカイと知り合いなんですですです!?」


パチーーーーーーン


大きな音がした後、気づくとマリョウが宙を舞っていた

何が起きた?


「メルー!痛いですですです!いきなり何するんですですですか!!」

「何よ!その気持ち悪い喋り方!もっとまともに話しなさいよ!」

「これは癖で直せないのですですです!いちいち叩くのやめてくださいですですです!!!」


え?マリョウくん…叩かれたの…速すぎて見えんかったぞ…

絶対痛いやん…マリョウのほっぺ真っ赤だ…

マリから話は聞かされてたがメルーは最強なのだろう…


「ま、そんなことは置いといてですですです!

 もう1人妹がいるので紹介するですですです!

 カモーン!モカ〜!」


切り替えが随分と早いマリョウさんは真っ赤なほっぺのことなど忘れているようだ

最高にハイテンションなマリョウに呼ばれて出てきた少女はとても嫌そうな顔をしていた


「兄さん…テンション高すぎて気持ち悪いです…

 それにメルー、兄さんをおもいっきり叩くのやめてあげて…気持ちはわかるけど…」


肩まで伸びた赤髪に控えめな胸、マリョウとメルーとは正反対でお淑やなイメージだ。

それにめちゃくちゃかわいい。


「あ、マカイさん。はじめまして

 私はモカ=マリョウです…兄と妹がご迷惑をおかけしてないでしょうか…」

「あ~愉快な方たちでとても良いと思いますよ…

 迷惑というよりね…なんていうかね…」


「あ~わかりました…それ以上はいいです…

 もう察しました…なんかすいません…」


あの二人を先に見てしまっているせいでカヤ家にまともに話せる人間がいるだけで驚きだ


「マカイ!今日は前に会った時に比べて随分と静かなのね!不機嫌なの!?どうしたの!?なにかあったの!?」

「そんなことないよ!いつもどおりだよ!不機嫌じゃないよ!元気!元気ですですです!」

「ヒッ…」


モカにもひかれてしまった…

違うんだ…ほんとに違うんだ…あなたの妹さんにね?テンションをね?合わせてあげてるんだよ?


「マカイさんもそっち側のヒトだったんですね…申し訳ありません」

「いや、違うんだやっぱり相手にテンションを合わせるのが礼儀じゃないだろうか。メル―やマリョウと話す時以外はこんな感じだぞ?ほんと俺は普通のヒトなんだよ?どっちかっていうとモカと話してるときのが自然な感じな気がする。うん。そうだ。普段はこんな感じかな…」

「そ…そうなんですね…兄さんとメル―をミックスしたようなしゃべり方ってよりは、どっちかって言うとメル―に少し似てますね…」

「あ…そうだね…」

名誉挽回するために饒舌になりすぎた…これじゃ完全にメル―みたいじゃん…


さっきまでの近かった距離感は届くことのない青空のように遠くなってしまった…

せっかくかわいくて普通なヒトに出会えたのに…


「なんですって!?私とマカイが似てる?!?ありえないわ!!マカイは男の子でしょ!?私は女よ!その時点でまったくちがうわ!!モカも変なこと言うのね!!」


ものすごく単純明快な答えの出し方だね。

うん、最高!きみ!おもしろい!


俺ってどんな感じだっけ?

もう自分がわからないよ…

割とクール系でかっこいい感じを目指してたんだけどな…


なんだか悲しい…トホホ…


今日もこんな感じで定時退社だ。


帰路につく。

今日は上を向いて帰ろう。

涙が。こぼれてしまわぬように。



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