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ナナケトマクロ 小説版  作者: Mattuo
6/11

少女は黙る

先ほどの王都はウェルカの北部にあたるらしい。そこから東門のところまでおよそ30分くらいだろうか。

現地に着くとそこにはおよそ3m近くありそうなマクロがいた。その大きなマクロ相手に10名程で一進一退の攻防を繰り広げていた。


「あねさんが助けに来たぞ!みんな代われ!」

全員の顔が険しい顔から一斉に明るくなるのがわかった。

マリはそれほどまでに頼りにされているということだろう。

「マリねぇさん!おせえよぉぉ!こっちはもうくたくただってのによ~」

「待たせて悪かったな!あとはまかせな」


大きなマクロはなにも言わず、そして動かない。

無言の圧力を発している

そんなマクロ相手に全く動じないマリとその他全員

俺だけはあまりの怖さに少し足が震えてしまっている


そしてマリは動いた

空高く飛んだ

その姿はまるで…


ん?なんだったかな…

何かに似てると思ったんだけどな…


そんなことを思っているうちにマリは宙に高く飛び上がり、所持していたなぎなたを大きく振りかざしマクロを一刀両断にした。



「マリ…強すぎんだろ…」

「当たり前だろ!あねさんはさいきょうだからな!」

「しかしこんな大きなマクロは初めて見たな。それもこんな町の近くで」

「そうなんですよ!軽く町の周りを点検してただけでテッコ班とメタル班が近くにいなかったらその少女は絶対に助けれなかったっす!」


「それでビックが走ってきたのか。いつもなら緊急事態の時はアギからテレパシーが飛んでくるがお前が走ってきて驚いたぞ」

「そうなんすよ疲れました……」

「マカイよ。こいつらがわれらの誇る精鋭部隊テッコ班とメタル班だ。人数はもう少しいるんだがまた今度紹介しよう。とりあえずテッコとメタルだけでも紹介しておこう」


「やぁ」

前に出てきたのは爽やか男子だ

とりあえず挨拶しとこう


「あぁ、どうも。マカイ=ダヴって言います」

「ぼくはテッコ=ガガジっていうだ。噂は聞いてるよ町の外からやってきたんだってね。忘れた記憶を思い出せるといいね。で、こちらがメタル=ウェバだ」


鍛え抜かれた身体にさわやかな笑顔。テッコさんすごいいい人そうだ。

そして紹介されたであろうメタルさんが前にでてくる。


「はやく思い出してくれよ、その記憶は我々人類の生きるヒントが隠されてるかもしれないんだからよぉ」

とても小さな身体で不気味な笑顔を見せつつ、皮肉をいってくる。メタルさん性格悪そうだ


「私達は大きく分けてマリ班、テッコ班、メタル班、訓練班の4つで構成されている。主に実際に戦うのはマリ班とテッコ班だ

 そして参謀を担当するのがメタル班。訓練班は実践では見学や確実に死なないようにサポート役に回ってもらい経験をつみつつ後世に希望をのこし、次世代の戦士を育成している。そして、何といってもメタルは知の神を宿すものだ。」


「へぇー頭いいんですね」

「戦闘に関すること限定だ」

「余計なことはいわんでいいぞマリ姉」


メタルは嫌そうな顔をしつつもなんやかんや嬉しそうだ

ツンデレなんだろうか


「そういえばマカイに神を宿す者についてあまり詳しく話していなかったな。

 それは今度詳しく話すとして……

 そこの少女は大丈夫か?」

マリは少女に手を差し伸べ声をかける。

「…………」

少女は黙る。

「あんたはどこからきたんだい?」

「…………」

少女は黙る。


少女は無反応でただ俺を見ていた。

気がする…

なにか疑問を抱いているかのように顔を傾げている。

その顔は…少し怖い

俺なんか悪いことしたかな…


「ん~、マクロに恐怖して声も出せないのかもしれん

 とりあえずこの子を助けよう。」

大きな身体のマリに抱かれた瞬間少女はビクリと体を震わすがそのあとはなんの抵抗もなくウェルカ内の南門まで運ばれた。


「さてと……どうしようか………」

誰が話しかけても少女は遥か遠くの何かをみているだけだった。

心ここにあらずだ。

「俺も話しかけていいか?」

「あぁ、問題ない」


外にはマクロがたくさんいると聞いているそんなところを少女は一人で歩いてきたのだろう。俺と同じように。

おれは能天気に歩いていたがこわな小さな女の子では不安で仕方なかったであろう。


だから今は伝えておかなければいけないことがある。

もう大丈夫だよと伝えて安心させてあげよう

そんなことを考えつつ発した言葉は全く違うものだった


「”キミハナニモノダ?”」


「…………」

少女は黙る。


間違えた…なにをどう間違えればこんな言い間違えをするのかもわからない

なぜこの言葉をえらんだのかもわからない。

ただなぜかこの言葉が心底から浮かび上がってきた

謝ろうと思い少女の方をゆっくり見た…


すると少女はこちらを化け物でも見るかの様な目で見てくる。

「ッ!!!」


俺は一瞬たじろいだ。こんな小さな少女に威圧されているような

今すぐにでも食い殺されるような

そんな殺気を感じたから。

「すまない。気分を害するようなことを聞いてしまった…」

少女は再び遥か遠くを見始めた。


そして周りを見渡してみると全員が驚いた顔をしていた。

みんなにひかれたかな…


「…どうやらあんたの質問はご法度だったようだね

 とりあえずはあんたの言葉はしっかり伝わってるようだ。

 意思疎通は図れそうで安心したよ。

 それならあんたの家で一緒に過ごして上げて欲しい。

 家に空きはたくさんあるがこんな小さな子を1人で生活させるわけにもいかんからな」


「……子どものおもりなんて俺にできる気はしないが?」

「それでもお前には反応を示してくれたのだからこれも運命だろう」

あの反応はただ怒らせちゃっただけなような気が…

「ん〜保護者っぽいことはあんまできんだろうけどいいか?」

少女に聞いてみる

「…………」

少女は黙る。


まあ沈黙は肯定と受け取ってしまおう。

嫌ならさっきみたいに睨んでくるだろうし


「そうか、よかった。俺はマカイ=ダヴって言うんだ。よろしくな」

頭を撫でながら言うと少女は一瞬身震いしたが怪訝そうな顔をしている。

「思いのほかあんたに懐いてるようだね。この子ももしかしたら記憶を無くしてしまっていて名前がわからないのかもしれない。あんたが名前をつけて上げたらどうだい?」

「そうだな……」


名前なんて俺に付けることはできない。そう言いたかったがなぜか、俺はこの子に名前を付けてあげたいと思った。


「リリア」


何を思ってつけたのかもわからない。

ただ思いついた名前を言ってみただけだ。

でも、案外良い名前なんじゃないかなと思えた。


「いい名前だと思うぞ。では今日からあんたはリリアだ」


みんなはとてもいい名前だと気に入ってくれた。

リリアを見てみる。

頭を傾げて不服そうな顔をしている。

気に入ってもらえなかったのだろうか……


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