イチから始める異世界生活
そのなんやかんやあったの辺りを詳しく聞こうとした瞬間、突然背後から激しい動物の唸り声のようなものが聞こえた。
その正体を確かめようと振り返ると、そこには牛の頭と人間の体を持った怪物がこん棒のような物を持って立っていた。
なんだあれ?まるでゲームなんかで見るミノタウロスのような……。
「ミノタウロス!!?なぜこんな辺境に!!?」
叫ぶソフィーさん。まんまかい!!
「トリア様、お逃げください!そしてあの遠くに見える村まで戻り、この事を司祭様に伝えてください!」
そう叫びながらなんか杖のような物を掲げるソフィーさん。
君はどうするつもりだ?と問いかけるとソフィーさんはおびえながらも俺を安心させようとしているのか、笑みを浮かべこう返す。
「大丈夫ですわ、こう見えても私は高レベルのシスター、足止めぐらいはなんとかできますわ!」
足止めって、つまりそれは自分自身を犠牲にするという事じゃないのか?
事情はよく分からないしさっき会ったばかりの関係だが、いくらなんでもだまって女の子を見殺しにできるような人間ではない。
俺はソフィーさんの言葉を無視してミノタウロスの前に立ちはだかった。
「やめて下さい!貴方は光の勇者様かもしれませんが、それでも先ほどまで倒れていて、そんな万全でもない状態であの魔王の最強の手駒の一つであるミノタウロスには勝てませんわ!」
俺の背後でそう叫ぶソフィーさん。それでも俺は引くわけにはいかない。