白猫の使い魔
魔導書庫には古から存在する魔導書の数々が収められている。ハーメルンファンの魔導書。
ルーンエリファスの魔道書。エクリプスの魔導書、こんなに魔導書が多くていいのかと思うが。
レオンは、思わず、手に1冊の魔導書を取り読んでみた。訳のわからぬ異世界文字がずらーっと並んでいる。
「うわぁ、この異世界文字あるある、既についていけぬ。」
レオンは、その異文字を見るだけで吐き気が出てしまう。
「これは、エール文字だね。エール人が書いだからそう呼ばれているんだよ。」
突然見知らぬ声がした。見ると、エルネストの首のところに白い猫の使い魔のような可愛らしい猫が現れた。
「うわぁ、なんだお前は??」
かなり小さくて小柄な猫である。エルネストの肩から降りてくるとレオンの前に現れてお辞儀をした。
「僕の名前はシオンだ。宜しくね。エルネストの相棒なんだ!」
(可愛いな、実際に白猫の使い魔とかいると思ったけど、女の子より男の子の方が可愛いな。)
レオンは、シオンの頭を撫でるとニコニコしながら言った。
「宜しくね。俺の名はレオン。異世界から来た人間って言ったら理解してくれるかなー。」
「」
エルネストは優しくニコニコ顔でシオンに注意した。相当可愛いがっているのが予測できた。エルネストの横にいて、サポートしてくれる。
「なあシオン、エール文字って一体なんなの?」
「この国の古代文字だよ。魔導書には予言の他にも、今この時代にいる僕たちが魔術を使えるように、ご先祖様達が残してくれた呪文が数多く載っているんだ。例えば今レオンが持っているエクリプスの魔導書には旧ファンダルシア正教から伝わる、1000の魔術がエール文字で書かれている。エール文字は、僕は、全く読めないんだ。でもエルネストは読むことができるんだ。」
「へー、そうか魔術も全て古代の人が考えた術を元に行っているのかあ。」
レオンは関心して頷いた。自分が読んだ小説通りの話だった。異世界転生したとはいえ、本を読んだ時には、それほど詳しく魔術の起源まで詳しく知ることはできなかった。
「ハーメルンファンの魔導書には聖剣と覇王剣が封印されていた。それを15年前、先代の王様が復活させたんだ。」
アリシアはハーメルンファンの魔導書をレオンに見せた。レオンがページをめくると、おびただしい数の魔術が描かれていたがそのページの中に二つの剣が描かれていた。
一見すると2つともよく似ている剣だが、聖剣と呼ばれている剣は、金色に輝く黄金の剣。対して覇王剣は、黒色を纏った汚れた剣。
「二つの剣は、共に古代の錬金術師達が作り出した。当時王国は2つに別れ戦争していた。聖剣は、僕らの先祖達。そして覇王剣は隣国が作り出した。隣国の悪魔と契約を果たした闇の錬金術師が作り、13の悪魔をこの覇王剣に召喚した。」
エルネストは、魔導書のあるページを開くと、手をかざした。すると一気にファンタジーのような世界観へと周りが変化した。
「僕の幻術魔法さ、さあこれから見せてあげよう。」
エルネストの不思議な力で、レオンは、幻想的な空間へと移動した。
「悪魔の封印?それってまさか、さっき居たケルベロスとか、ヒドラとかか。」
「まあそうだね。それだけではないさ。それは古代の錬金術師が封印した悪魔の数。それ以外にもサターンやルシファー、サタナキアなどの100種類の悪魔が封印されたんだ。長い時間の変化が彼らを封印させたんだ。覇王剣に封印されている悪魔が全て蘇れば、この世界は、破滅するだろ。そして悪役令嬢ミランダ・シミーは、覇王軍を作り出した。聖剣も手に入れれば、世界は滅亡するだろうね。」
「つまり俺たちは奴らからなんとしてでも覇王剣を取り返すってことか。あのミランダ・シミーを倒してでもか。」
「もちろん、これは私たちに課せられた使命なの、エルネストは、魔道評議員のメンバー。これは評議会からの命令でもあるの。奴らを止められるのは聖剣を使えるSクラスの魔道士だけ。私は、まだAクラスの魔道士だから、無理なのかもしれない。でも、エルネスト1人でやらせなくたないの。」
「俺も協力させて、絶対2人の邪魔になるような事はさせないからさ。」
レオンはアリシアとエルネストに対して誓った。