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私の同居人(ペット)は狼女です。  作者: 凛之介
第1章
22/106

君に癒してほしくてたまらない

 数日分の疲労感が一気に押し寄せ、私は自室のベッドにその身を放り投げた。ここのところ、本当に多忙だった。仕事がてんてこ舞いで、周りよりノロマな私は朝早く出勤し夜遅くに返ってくるという生活を数日間繰り返していた。

 本日漸くその忙しさも納まり、今日は久しぶりに早く帰ってこれたのだ。最近の食事は自分で適当に用意して手早く済ませていたので、ひと段落ついた今、激しい食欲が私を襲ってきた。今、ミカンが台所で少し豪華な夕食を作ってくれている。今日は私をいっぱい労わってくれるんだと。普段から労わってもらいっぱなしなのにね。しかし、今日はミカンのお言葉に甘えるとしよう。

 それにしても、こうしてベッドに横たわっているとどうも眠たくなってしまう。ここのところ睡眠時間も足りてなかったからな。と、台所から私の大好きな声が聞こえてくる。

「眠かったら寝てていいからな。食事ができたら起こしてやる」

「んーありがとぉ……」

 私はミカンに言われた通り、ささっと着替えを済ませてベッドに潜り込んだ。するとすぐさま瞼は重くなり、私は数分もたたぬうちに眠りについた。意識が落ちる瞬間、「おやすみ」という優しい声とともに頭を撫でられた気がするが、それを確認することはできなかった。


 ◆


「ほら林檎、起きろ。飯できたぞ」

 いつものように揺さぶる起こし方ではなく、まるで幼子を扱うかのように柔らかく頭を撫でられて目を覚ました。ミカンの微笑んだ顔を認識すると同時に、いい香りが居間の方から漂ってくる。私のおなかの虫は正直で、ミカンに撫でられたままぐぅ~と間抜けな音を奏でた。ミカンにくすくすと笑われ、その恥ずかしさで目はしっかり覚めた。

「もう、笑ってないでご飯食べようよ」

「そうだな、悪い悪い」

 口ではそう言いながらもまだ笑っている。釣られて私も笑った。

 食卓には私の好物ばかりが並んでいて、しかも今日は金曜日だからビールもOKだ。ミカンは「金曜じゃなくても特別にビール許可しようと思ってたんだがな」と微笑んだ。本当に甘やかし過ぎじゃあなかろうか。まぁいいか。

「林檎お疲れさま。乾杯」

「ありがと、かんぱーい!」

 烏龍茶とビールで乾杯して、私たちは数日ぶりに顔を合わせて、温かい絶品の料理を頬張った。胸の中が暖かくなって涙が零れそうになったけど、心配かけたくないからぐっと堪えた。

 あぁ、今、すごく幸せだ。


 睡眠欲も程よく満たされ、食欲も十二分に満たされた。さて、あと残るのは何か。無論、性欲である。

(長いことミカンとえっちしてない……猛烈にしたい。あの攻められてトロトロになった顔が見たい)

 湯船にゆっくり浸かって体の疲れを取りながらも、頭の中はそんなことばかり考えていた。明日は休みだし、したいなぁ……。

 そんな風にぼうっとしていたから、すりガラスに映った姿に私は気づくことができなかった。ガラガラと戸を開ける音に顔を向けると、ミカンがあられもない姿で浴室に入ってきた。いや、浴室だからあられもない姿は当たり前なのだが。普段一緒に入ったりはしないのだが、どうしたというのか。というか、ついさっきまで欲塗れな物思いに(ふけ)っていたから、いざミカンの裸を前にすると心臓の高鳴りが半端ない。

 硬直したままの私に触れることなく、ミカンは軽く全身を洗うと湯船に入ってくる。この湯船は二人で入るには少々狭く、身体がぴたりと密着している。

 我慢の限界が来た私はミカンの身体に手を伸ばそうとしたが、それより早くミカンの顔が私に近づいていた。

「んぅ」

「……我慢してたのが、林檎だけだと思うなよ」

 真っ赤に染めたその顔で、ミカンの手が私の身体に迫る。攻められた顔が見たいと思っていたのに、まさか攻められるとは微塵も思ってなかった私は、呆気なくミカンの思うがままになっていた。


 その後、私たちはのぼせるまで浴室で欲に身を任せ続けた。

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