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非日常の記憶
「どうして…」
そう言ったとき彼女は、涙目になりながら唇を噛みしめて震えていた。
俺も混乱していた。
もう一生会うことはないと思っていたから。
高三の夏、あの事件から1年が過ぎたある日、後輩は俺の部屋にやってきた。
彼女には脚があった。息もしていて、涙も流していた。
でも、氷のように冷たい彼女に触れたとき、俺は大体のことを理解した。
最初は信じられなかったが、そうでしかありえない。1年前の事件を引き起こした彼女が今、目の前にいる理由は、それしかないだろう。
例の事件はあっさり解決する。結果としては痴情のもつれによる殺人、そして「 。」それで解決した。
他人達はそんな簡単な事件をあっさりと忘れ。学校は、世間は、日常を取り戻した。
でも痴情そのものだった俺はそうはいかなかった。
起きて、もやもやした気持ちで着替えて、自転車で1こぎごとに思い出しながら学校に行く。授業悲しみ昼メシ後悔授業のあと部活をせず帰る。
家に帰ればまた思い出す。
泣いた日もあった。怒った日もあった。後悔した日もあった。自分も死のうと思った日もあった。
そんな1年を過ごしてきた