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ジンジャーとネズミの騎士 その4




ともかくもジンジャー達は人混みに紛れるように町中へと向かい、目に付いた酒場で一旦腰を落ち着ける事にした。


「改めてありがとう、ジンジャー君。僕の名はネリ。助けてくれて本当に感謝してるよ」


ぺこりと頭を下げる青年。


「出来れば何かお礼の一つでもさせて貰えれば嬉しいんだが・・・・・・」


「お気になさらず、にゃ。なりゆきのようなものにゃし」


「かたっくるしいなおい。こんな時は酒の一杯でもおごってパーッと騒ぎゃあいいんだよ」


二人のやりとりに茶々を入れるジェット。手には既にジョッキを抱えている。


「おまえは僕にタカりたいだけだろう!はあ、まあいいや。そういう事だからジンジャー君、君にも一杯おごらせてくれないか」


苦笑しつつ、ジンジャーはその提案を受け入れる事にする。



「しかし・・・・・・立ち入った事を尋ねるやもにゃけど、先ほどは何故追われてたのにゃ?ただ事じゃない雰囲気だったけども」


「あー・・・・・・なんと説明したらいいのか」


言いよどむネリに対して、しれっと横から答えるジェット。


「お尋ね者なんだよコイツ」


「おい!確かにそうだけど、もうちょっと言葉を選んでくれよ」


大慌てでジェットの口をふさいで周囲を見回すネリ。


「・・・・・・どゆことにゃ?」


「いやいや、違うんだ。色々と追われてるのは事実なんだけど、別に何かしでかしてそうなった訳じゃなく、むしろ止めようとしてと言うか・・・・・・」


しどろもどろなネリを押しのけて、ジェットが面倒くさそうに話を続ける。


「真の龍の民、って知ってるか?最近町中でよく騒いでる奴らだ」


「あーこないだ簀巻・・・・・・いや、見たことあるにゃ」


「すまき?・・・・・・まあいい。ともかくもこいつ、その集団のリーダーなんだよ」


え、と思わずネリの方を見やると、ものすごく気まずそうな顔と目が合う。


「では、ネリは今の国王様や魔女様を認めない組織のリーダー、って事にゃ?」


ジンジャーの目が細められる。それを見て大慌てで手を振って否定するネリ。


「違うよ!断じて違うから!」


ジェットの説明はいつも端折りすぎなんだよ・・・・・・ぶつくさ呟きながらも、ネリは事の経緯を話し始める。


「元々は山岳民族の互助組織みたいなものだったんだ」


「この国には、龍が住むといわれるシノナ高山脈を始め、多くの山々がある」


「僕もそうなんだが、そういった山々の恵みを糧にして暮らす人々が大小様々なまとまりを作り、各地で暮らしているんだ」


「ただ税を納めておらず、定住もしていないので、国からは国民として認められてないけどね。逆におおやけに迫害もされていないけども」


あやふやな存在なんだ、僕らは。と少しだけ寂しそうにネリが笑う。


「だから当然と言えば当然なんだけど、先の戦争の後、僕らのような都市に定住していない者達への保護がどうしても後回しになってしまっていてね」


「それで、そういった人々が互いに助け合えるようにあちこちに声を掛けて回ってたら、いつの間にかリーダーみたいな扱いになってて・・・・・・」


ふん、とジェットがつまらなそうに鼻を鳴らして話を継ぐ。


「で、そうして集まった中で、現状に不満を持つやつらが徒党を組みだして、その中の更に過激な考え方のやつらがこいつを追い出して組織の頭に収まろうとしだした、と。よくある話だ」


「外から見ればそういった過激な行動をしている組織のリーダー、組織内の過激な連中から見ればまっさきに排除すべき敵、ってんであっちこっちから追われてんだよこいつ」


人気者だなおい、とネリの肩を叩いて愉快そうに笑うジェット。


そんなジェットをにらみつけながら、ため息をついてネリは話を続ける。


「まあそんな訳で、今は各地の中立的な勢力を訪れ、暴走しないよう説得して回っている所なんだ」


「なんと言うか、大変ですにゃ・・・・・・」


苦笑しつつも、ネリは迷う様子もなく答える。


「なりゆきでリーダーになったとはいえ、僕に自分や自分の家族の将来を託してくれた人達の為にも、出来る限りの事をしないとね」


「確かに僕たちのように山で暮らす人々にとって、現状は苦しいものだ」


「だから団結しようと呼びかけたけど、それは決して苦しさを他者や国に押しつける為じゃないんだ。皆で前を向いて、苦しさそのものへ立ち向かう為なんだ」


「立ち向かう中で、武器を取って戦わなければならない時もあるかもしれない。その覚悟もしてる。けど・・・・・・今の彼らような理由で争う事は、そこから更なる争いを産み続ける結果にしかならないと、僕は思っている」


「・・・・・・そんなかたっくるしい事ばかり考えてるから、貧乏くじ引かされるんだろ」


少しあきれたような、それでもどこか心配するような調子で、ジェットが口を挟む。


「自覚はしてるんだけどね」


苦笑いしつつ頭をかくネリ。


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