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異世界での目覚め

 ……何やら、声が聞こえて来た。口やかましい声。なんなの、まったく。ウチの執事にこんな奴、いたかしら?


「おい、起きろ。お前、いつまで寝ているんだよ」


「な、何よ……うるさいわね。朝は弱いって言ってるじゃない」


「弱いにも限度ってもんがあるだろ、もう昼だぞ」


「え? 昼……? そうだ、私!」


 私は、はっと目が覚めた。思いっきり、立ち上がろうとしたが、そこの男とぶつかり合ってしまう。頭と頭が丁度よくぶつかって倒れる。


「いった……」


「いってて……何するんだよ、お前」


「こっちのセリフですわ……って、それどころじゃありませんの! 私は……生きて。生きているのですか。では、私を殺そうとした犯人は! あの、専称寺の奴は!」


「あぁ? 何言ってやがる。寝ぼけてんのか? さっさと着替えろよ。今日は大切な日なんだからな。昨日、興奮して寝れなかったんだろうけどよ」


「何をわけのわからないことを……って、ここはどこですか!」


 よく見ると、私の家ではなかった。何やら古臭い感じの……木造住宅?

 もしかして、私を救って下さったのかしら? いえ、それなら病院か、私の家に連れて行かれるはず……どういうことかしら。これは。


「貴方、何者?」


「おいおい。そりゃあねえぜ。愛しの『妹』よ。いくら、起こされて不機嫌だからってよー。大体、お前が朝弱いから起こしてくれって頼んだんじゃねーか」


「……何を。貴方、頭は大丈夫かしら?」


「あー、はいはい。わかったから、飯にしよーぜ。もう、腹ペコなんだよ。俺は」


 そういって、見知らぬ男は出て行った。どういうことなの……? まさか、連れ去られた!? そうか、それならここが見知らぬ家なのも、納得がいくわ。殺さずに、連れ去ったってことかしら。なら、逃げないと。さっきのあいつは……見張り役かしら? 何か、武器とか……ないかしら。……あった、ナイフ? にしては、大きいわね……短剣? のような物かしら。


 そういえば、ここ。何階かしら? 窓は……二階、みたいね。いっそのこと、ここから飛び降りる方が……。そういって、下ばかりに目線が行っていた私は、周りを見ていなかった。その視線が、上に移動した時。眼を、疑った。


「なに……これ」


 そこに飛び込んで来た景色は。私がまったく、見たことのない『世界』だった。


「どういうこと、なの。これは」


 なんていったら、いいのか。がやがやと騒がしい町並み。そこはまだいい。そこにいる『人達』だ。鎧を着ている者や、ローブ姿の者。杖を持っている者。何かのコスプレ大会なのか、まるで仮装パーティーでもしているかのような連中でごった返していたのだった。


「どこよ、ココ……」


 一体、私はどこまで連れ去られたのだろうか。ぱっと見、日本人らしき人物の姿がない。金髪の色白男や、黒人など……外人ばかりだ。もしや、か、海外に連れ去られたというの!? 私は!


「なんてこと……これじゃ、逃げられませんわ。逃げたところで、どこへ行けというのですか!」


 けど、逃げないと命が危ない。今は、とにかく逃げるしか……。そう思って、窓から飛び降りようとすると……。


「お、おい! 何やってんだ、バカ!」


 さっきの男に掴まれて、ベッドへ押し戻された。


「きゃっ! は、離れなさい! 汚らわしい!」


「お前……いい加減にしろよ! いつまで怒っているんだ! あんなことまでして……今日が何の日か忘れたのかよ! お前の大好きな『王子様』に会いに行く日なんだぞ!」


「……は?」


 ベッドの上で。見知らぬ男に押し倒されながら。わけのわからないセリフで、混乱する私でありました。


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