大蓮寺グループの財閥令嬢
私の名前は、大蓮寺鈴花。大蓮寺グループの財閥令嬢よ。貴方達とは、住む世界が違うところにいるの。わかるかしら?
「あはははっ なにそれー」
黄色い声を発する猿共。不愉快ったら、ありゃしない。
「……斉藤。あの子達、ちょっと調子に乗りすぎね。『始末』しなさい」
「はい、お嬢様」
この学園は私のお父様が管理している大蓮寺グループ直轄の学園。ここでは、私が法。私の気に入らない奴は、社会の厳しさを存分に味わわせた後に、処分することにしてるわ。いい気味ね。ざまぁないわ。あははははっ。
私がほくそ笑んでいると、それに割り込むように声が聞こえて来た。何? と、そちらの方向を向くと……。
「やあ、大蓮寺さん。相変わらずお綺麗ですね」
「あら、専称寺君。おはようございます。ふふ、相変わらず。お世辞が上手なのね」
「お世辞ではありませんよ。本当に美しい。学園の妖精ですね、貴方は」
「どうせなら、『女神』にしておいて欲しいですわね」
「これは失礼。たしかに、その通りですね。貴方は、学園の『女神』ですよ」
「おーっほほほ、そうでしょう。そうでしょう。いいわね、専称寺君。貴方は、わたくしのことをよく理解してくれているわ」
「それはそれは、光栄です」
「今度の週末に、パーティーを開くのだけど、貴方も参加しないかしら? 私のエスコートをお願いして上げてもいいわよ」
「有り難く、引き受けさせて頂きます」
「結構。週末、楽しみにしていますよ。おーっほほほ」
今の彼は、私のことをよく理解してくれている専称寺行人。私のお気に入りの男の一人ね。まあ、十人ほど似たようなのを、キープしているのだけど。皆、私の事より大蓮寺グループの権力と資産が目当てなのは、わかっているわ。それはそれで構わないのだけど。理由はどうであれ、私の『おもちゃ』になってくれるのであれば、ね。ほほほほ。
ふふふ、週末が楽しみだわ。パーティーの後はどうしようかしら。そういえば、まだ彼は『調教』していなかったわね。そろそろ頃合いかしら……うふ、うふふふふ。
おっと、行けないわ。よだれが出そうになってしまったわ。はしたない。大蓮寺グループの看板を背負う者として、恥ずかしくない姿をしなくてはなりません。こほん。
あぁ、早く週末にならないかしら。
この時の私は知らなかったのです。まさか、あんなことになってしまうなんて。
そう、その週末こそ。私にとっての『終末』となってしまうことを。