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ヨウヅキ endE お兄さん

「うーんヨウヅキは派手過ぎるから」

「そうですか……」


ヨウヅキに聴こえていたらしく、傷ついたような顔をしている。


「いやでも、ヨウヅキはかっこいいよ」

「たとえどんなに優れているとしても、貴女に選ばれなければ、それは価値がないと思います」


私みたいな一般人の評価なんて気にしなくてもいいだろう。


「相変わらずめんどくさい奴だぜ。な、お前もそう思わないか?」


お兄さんが私の肩に着いていた葉を取る。


「なんで……貴女は兄さんを選ぶんですか!?」


ヨウヅキが静かに嘆き、頭をおさえる。


「え、なんでそんな悲しそうなの?お兄さんは葉っぱをとってくれただけだから!」


ヨウヅキは何に大して、激情しているのかわからない。


「もしかして真面目なヨウヅキはお兄さんに勝負で負けたのが嫌とか?」


さっきの選ぶとか、選ばないとかは軽い話なのになあ。


「こりゃ重症だな」


お兄さんはヨウヅキを冷めた目で見ている。もしかして、さっき葉をとったのはヨウヅキを煽る為?


「ラウル兄さんは貴女に触れられるのに……」

「え、じゃあ手繋ごっか?」


私が手を差し出すと、ヨウヅキはゴム手袋をはめた。


「……潔癖性なのかな?」

「いや、多分……」


ラウルは事情を知っているみたいだけど黙っている。


「婆ちゃん乗り物いっぱいだよ!!」

「これ……まちなさいウソルや……!」


くたくたのお婆さんが孫を追い掛けている。


「ぶっ」

「ああごめんなさい」


黒髪の孫はヨウヅキにぶつかった。


「いいえ……こら、走ったら危ないぞ。それにお婆さんを置いていったら駄目だろう?」

「はーい」


お兄さんや私には丁寧に話しているけど、あれが素のヨウヅキなんだろう。


「セイ様、お待たせしてすみませんでした」


――なんだか切なくなるのはどうして?


「いやいや、僕らにも謝ってよ」

「そーそーあちちっ」


キンモクセイとマルトはチーズを食べながら言った。


「早く移動したほうがいいぞ」


ラウルはヨウヅキではなく、マルトに向かって言った。


「今日は一日オフなんだけど、なにかあるの?」


チーズで火傷中のマルトに代わり、キンモクセイがたずねる。


「この場所は、今日は吉凶の相が出てるんだよ」


ラウルはタロットカードを一枚私たちに見せる。

それには逆さまの男女がかかれている。


「これは恋人のカードだ。正位置なら恋愛絡みの良い事、逆位置なら……」


目を伏せてラウルは言いよどむ。ああ、きっと彼は全てを視ているのだろう。

確証はないのに、私は近視眼があった。


「じゃあ次はどこにいく?」

「少し兄と話しますから、セイ様は皆と先に行っていてください」


ヨウヅキがそういうけど、なんだか後ろ髪をひかれるような感じがする。


◆どうしたらいいのかな?

→〔私も残る〕

〔わかった〕


「私も残るよ」

「え……」


ラウルは安堵したようにこちらを見ている。


「あの二人ともちょっとお願いがあるんだけど、私の左右を挟んでくれない?」

「わかりました」

「ああ?」


二人は困惑しているが、大きく息をすった。


「私の為に争わないで!……一度言ってみたかったんだ~」

「あははっ……」

「くく……おもしれえ奴……」


私はそこそこ正しい選択をしたらしい。


【ノーマル3:起死回生】

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