キンモクセイ endD そのまま
私は抵抗せずにアンドルの握手を受け入れた。
「そうそう、キンモクセイさんが知りたがっている情報が手に入ったんだ」
アンドルが私に耳打ちした。
「なにそれ?」
「知りたいなら今から宇宙船で行かない?」
私は二つ返事でついていくことにした。
「キンモクセイが知りたいってなにを?」
「彼が兄を探していることのは知ってる?」
キンモクセイに兄がいるのは聞いた気がする。
「兄がいるとは言ってたけど行方不明なの?」
「うん、ああ別にボクが生き別れの兄ですパターンはないからね」
――似てないからさすがに違うと思いたい。
「実は彼の二番目の兄とつい最近知り合ったんだ」
「だったらなんでキンモクセイじゃなく私なの?」
アンドルはクスりと笑った。
「キンモクセイくんを連れていくと彼の場所を軍にリークされてしまうからね」
「ヤバイ職業なの?」
アンドルはコクっとうなずいた。
「簡単に言うと悪魔を使役している教団」
「え……リアル側の宇宙とファンタジーの悪魔ってあんまりピンとこない」
■
「また来たのか」
「やあダンデリオさん、弟くんの彼女候補連れてきたよ」
金髪でフワフワの天使みたいな印象のある男性、隣には死んだ目をした同い年くらいの女の子。
「あの、始めまして!」
「ああ」
「……」
死んだ目だけどめっちゃ見ている。恐らくダンデリオさんの彼女に違いない。
「ダンデリオ、やっぱり明るい子のほうがいいの?」
「いや、そんなことは……」
なに、この雰囲気。別に羨ましくないんだからね!
……なんて思わずキンモクセイのスタンドがついた。
「弟さんがお兄さんを探しているんです」
「一番上は異次元にいるが、少なくともアイツは俺の居場所くらいは知っている筈だ」
じゃあキンモクセイが二番目のお兄さんに会わないだけ?
「そうだったんですか……」
「確認したことだし帰ろうか」
アンドルが手を引いて宇宙船に私をのせる。
「華、あいつら何しに来たんだろうな」
「どうでもいい……でも私と似てた」
「似てないだろう」
「タイプじゃなくて」
■
「帰ったらキンモクセイに話さなきゃ!」
「ダメだよ」
アンドルがにこやかに私を止める。
「なんで?」
アンドルは私の目を塞いで囁いた。
「これから行くのは彼の待つ戦艦じゃないからね」
目が覚めると私は暗い地下にいた。
「ずっと探してたんだ。ボクの姫」
アンドルはいつもと変わらず普通なのに怖い。
「嫌だよ!ここから出して……誰か!」
「助けはこないよ」
髪を結っていたゴムが自然に切れてはらりと落ちた。
【想い違い】




