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サブend:ペテチド 父親みたい


ヨウヅキって父親みたいだなあ。


「父親か……」


私の父はどんな人か、よく覚えてないなあ。


「あ、丁度よかった。一緒にカフェいかない?」

「うん」


マルトは母が辛党で父が甘党だったらしく、均等に両方食べたくなるらしい。


「カップル限定メニューなんだよ」

「へー」


そんな都市伝説みたいなのリアルで存在したんだ。


「いらっしゃいませ」

「じゃあカプチーノとカップル限定メニューで」

「私はソーセージとメロンソーダをアイス抜きでさくらんぼ付きの」


カフェのマスターは鼻の下にある小さな髭がダンディ感がある。

やはり彼のような大人は父親っぽい。


「どうかした?」

「あのマスターってザ、マスターだよね」


マルトは成る程と言って料理を食べた。


「それじゃ、今日はありがとう」


カップル限定メニューで半額になりラッキーだった。


「お嬢さん」

「はい?」


店を閉めた喫茶店のマスターが声をかけてくる。


「貴女にはまた会える予感がします」


このときには彼の言葉の意味がわからなかった。



密猟組織が出入りしているバーがあるという。

私達は手がかりなく探し出すことになった。


「四人でバーに潜入するぞ」


ヨウヅキは真顔でありえないことを言う。


「ヨウヅキはともかく、私達はどう見ても未成年……」

「我々は地球人より寿命が長いので見た目と年齢はイコールではないのです」


――つまり向こうに私達を未成年だと見た目で判断する事は不可能。


「ならいいのかな?」

「取りあえずオレは未成年じゃないし、任務だから仕方ないよね」


マルトがボソりと、とんでもない事を言い出した。


「今なんて」

「いきましょう」


詳しく追求しようとしたが、ヨウヅキに促されてうやむやになった。



「マスター、ノンアルコールのカクテルを三つと白ワイン一つ」

「かしこまりました」


バーのマスターはダンディな人、あれは間違いなく喫茶店のマスターだ。


「あれ、マスター喫茶店にもいなかった?」


私は直球できく。


「当店は昼に喫茶店、夜にバーというスタイルなのです」


――まるで昼は普通のサラリーマン、夜はスーパーヒーローみたいだなあ。



結局は何も怪しい点がなくて引き上げる。


「おやすみ~」


任務から数時間、皆が寝静まった夜に何だか眠れなくて部屋をでた。


「むぐっ!?」

「しっ……声を出すな」


気配もなく男は私の口をふさいでいた。

聞き覚えのある声で、もしかしたらと後ろを振り向く。

私は声を出せずに外へ歩かされてしまう。


「よし、声だしてもいいぞ」

「貴方は何者!?」


どうして私を連れ出したのだろう。


「俺は喫茶店マスターでバーもやっているが、それは仮の姿」


男はコートを脱ぎ、動きやすそうな格好になる。「実態は反プラネター組織連合ヴィーヴルの幹部、ペテチドなのさ」


ペテチドはつけ髭をぺりっと剥がして地へ捨てた。


「わっ若い……」


彼が初めの男らしい印象と違い綺麗な顔立ち。


「お嬢ちゃんはどっちの俺がいい?」

「しっ……知らない!」


私は首を降り、話を聞く気はないと意思をしめす。


「つれない事をおっしゃらないでくださいお嬢さん」


今さらマスター風な態度をとるが、今度は執事っぽい。

じりじりと壁に追い詰められ、これ以上後退できない。


「私に惚れてもいいんですよ?」


耳元で囁かれて頬が熱を持つのがわかる。

反プラネター組織なんて危ない人にそんなことを思ったら絶対いけない。


「顔赤いぜ、冗談なのに本気にしたか?」


嫌なのに認めたくないのに――


【愚者の企み】

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