マルト endU やれる
「やめて……放して、撃っちゃうからね!」
私は威嚇射撃をして、やはりマルトに当たらなくてホッとした。
「俺は組織で恩人に受けた分を返したいし、君といたい」
「マルト……」
私はこんな近くにいて、絶対に当たらないわけないのに外した。
「以前なら選ぶ道はひとつしかなかったのに、もうどちらも選べなくなったんだ」
「なんで……」
彼は苦しいと背中を強く圧迫する。
「君が俺の前に現れたから……だから、責任とって殺してよ」
「いや……マルトが帰らないなら私がここにいる」
持っていた銃を放し、彼を抱き締め返す。
■
――戦艦が宇宙を飛び周り、ぐらぐらと揺れる。
部屋中を甘ったるい香りが占めていた。
「今日も君は綺麗だね」
男は煙を燻らせて、視界を布で奪われた女を愛でた。
「こんなことしなくても私は逃げないのに」
「ライトのストックが切れたから、浴びるまでは君の知ってる俺じゃないから……」
確かに背丈と手が前より大きくなっている。
「大人の姿は嫌なの?」
「本当の俺を君に知られたくないんだ」
そんなに拒むなんて、もしかして顔に自身ないとか?
「ねえ他の皆はマルトの顔を見ているの?」
「そうだけど、写真とか見たらダメだよ?」
マルトが嫌がるからしたっぱと言われる人に聞いてみた。
「ねえ大きいマルトはイケメンなの?」
「ええ、普段の小さな姿を大人にしたような姿ですよ」
じゃあどうして嫌なんだろう。
「ね、私はマルトに信頼されてないんでしょ?」
彼と仕事へ行く為に船内を移動する。
「そんなことないよ」
「じゃあ何で大人の姿を見られるのが嫌なの?」
私が問いかけると、意外そうな顔をしている。
「え、そんなに見たいの?」
「……あんなに嫌がってたし、他の人は普通に見てるから私だけって……」
マルトが私の頭を撫でる。
「すみませんボス。今日は仕事、休みます」
「ちょっとマルト!?」
【メリーバッド:地星の欠如】




