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ヨウヅキ endV みない
私は小走りして、何があるのか見に行く。
「なにこれ」
糸が巻き付き小さな二体の人形は肩を抱き合い見つめあっている。
黒髪の男型人形と赤毛の女型人形はまるで、事件にあった二人のよう。
「まさか」
人形に巻いてある赤く細い糸は彼の髪?
草むらの人形を撃ち抜いた。
「早く戻ろ」
私は何もみていないと自分に言い聞かせた。
「おはようございます」
ヨウヅキがいつもと変わらない様子で挨拶してきた。
「お、おはよう」
どうしてだろう。彼の顔をまともに見られない。
「何かあったんですか?」
「なにもないよ」
ヨウヅキはテレビを観ていないのかな。
親から連絡があってもおかしくない筈なのに、どうして冷静なんだろう。
「……それでもいいの」
「?」
――私は幸福に衰弱していく事だろう。
【バイオレンス:嘘でもいいの】




