ヨウヅキ endH 飲む
最後の力を振り絞り、ドリンクを一口飲む。
「……!」
唐辛子やチョコ菓子でしか口にしたことがないアルコール類が入っているようで、熱い飲み物とはいえ、少しだけなのに瞬時に体が暖まる。
「大丈夫ですか?」
私はエナジードリンクを全て飲み干す。
「う……」
体が痛み、何がなんだかわからなくなる。
「見つけたわよ!」
ヨウヅキの婚約者、彼は私のものなのに意味がわからない女。
そいつの顔に空き缶を投げつけてから所持していた小型マシンガンで蜂の巣にした。
「あははっ」
マージンの民は頭に電流が走り、気分は高揚した。
「実に残念だ」
監守の女は呟き、靴音は遠退く。
私はプリンズの監獄に捕らわれてしまったのである。
「あーあーあれを飲まなければこうはならなかったよね」
しかし私は死んでいただろう。だが生きてもこんな結末なんてどこで道を間違えたんだろう。
「私なんのために生まれてきたんだろ」
ヨウヅキは逃げられたのだろうか?
「ご無事ですか?」
「ヨウヅキ?」
なぜ彼が上からおりてきたのだろう。
「外では我々が痴情の縺れだとニュースになっています」
「え」
状況からして確かにそう思われる。
「ごめん私があんなことしたから」
「なにを仰るんですか」
「だって」
「本来なら今ここにいるのは貴女ではなかった」
ヨウヅキが悲痛な顔で私に頭を垂れる。
「せっかく罪にとわれなかったのに、どうしてここに来たの?」
「私も貴女とここにいます。真偽はどうあれ、宇宙全土で私達の愛増を囁かれ、いつしかそれがドラマになったら……」
彼はたとえ地獄でも、私の傍にいる。といって微笑む。
「痴情の縺れ、意外と間違えてないよね」
ドリンクの影響か、彼が奪われる事を嫌だと強く思った。
【アンハッピー:地星のもつれ】




