第一話 Prelude
いやー、ついに第二章が始まりました。正直第一章のようにほぼ毎日更新は難しいですが、あまり間隔をあけないように頑張ろうかと思います。
あと、第一章終了時からいきなりアクセス数とユニーク数が増えて驚きました。何度もページを開いて確認するほどでした。
それでは、ごゆるりとお楽しみください。
静寂に満ちた暗い部屋。机の上に灯る僅かな明かりが辛うじてその部屋の主の顔を濃い影を作りながらも浮かび上がらせる。
「コイツが極東で新しく確認された〈神殺し〉か・・・。果たしてどんなものかな?」
まだ大人の女性とはいえないような成熟しきっていない小柄な少女が、その手に持つ写真を眺めながら喜悦に顔を歪ませる。
───コンコン
「お邪魔します」
ノックと共に部屋に入ってくる男がいた。まだ若い男だ。青年という括りに入るくらいには。
「ふむ。丁度いい。お前、この〈神殺し〉についてどう思う?」
「まだまだ未熟のようですが、それでもその実力は本物かと」
少女に問いかけられ、彼女の前に立つ青年はそう答える。
「そうか・・・ならば出来うる限り計画の邪魔はされたくないな。とすればどうしようか・・・」
少女は椅子に座りながらも考え込んでいる。
今現在練っている計画は確実に成功させたい。
だが・・・〈神殺し〉というのは往々にしてやっかいな存在である。やっかいなのはその力だけではない。理由は不明だが〈神殺し〉の近くでは何故かイレギュラーなことが多々起こる。そのせいで予想していた結果と違うことになるのは良くあることだ。もちろん何事にも例外はある。必ずイレギュラーは発生するわけでもないし、発生したからといって想定していた結果から遠ざかるとは限らない。
分かり易く言えば、何が起こるか分からなくなるのだ。
これは、〈神殺し〉の持つ異常に鋭い勘が原因だとも言われている。それは何故か。おそらくだが、彼等は勘で異常を察知し、それが自身に何らかの悪影響を及ぼすならば無意識のうちに妨害するからではないか、と考えられている。真偽のほどは確かではないが。
とすれば、この計画をどうしようかと悩むのは必然である。
やがて───
少女は決心した。
「計画を実行しよう」
「し、しかしっ、それでは!」
青年は驚き、少女に反論しようとした。が、少女はそれを自らの手で制し、語る。
「ただし、そのままとは言わない。彼を何らかの形で計画の邪魔をさせないように誘導すればいい」
「・・・それは可能なのですか?」
「可能かどうかの問題ではない。やる、それしかない」
やがて、彼女の強い決心に負けたのか、青年は頭を下げ、退出する。
「ふふ。さて、どうなるかな?」
少女は面白そうな玩具を見つけたかのように破顔った。