隣の木々が枯れた土地〜土地を引き継ぐと呪われる〜
子どもの幼稚園が春休みに入ったため、牡丹は子ども2人を連れ、実家に帰省した。牡丹が実家にいたときには、今は亡くなった祖父祖母とも暮らしていたこともあり、そしてちょうどお彼岸の時期でもあったことから、祖父母の眠るお墓参りも、牡丹の父母、そして子ども達も一緒に連れて行った。
牡丹の父は牡丹と孫が帰ってくるからと、仕事を休んで平日に一緒に遊んでくれた。
牡丹の実家は、家の隣に畑があり、その畑の隣には高低差様々な枯れた木々が生えていた。
今の時期は気温が高ければ、畑に咲いている菜の花に蝶々がたくさんやってくる。牡丹の子ども達は、虫網を持って必死に蝶々を追いかけ回す。
すると、蝶々は畑から横の隣の枯れた木々の土地へと、ヒラヒラと羽ばたいて行った。子ども達は蝶々だけを見て必死に追いかけて、枯れ地に足を踏み入れたときだった。
子どもの1人が痛い、と叫び声をあげ枯れ地から飛び出て来た。牡丹が子どもに駆け寄ると、子どもの長ズボンにトゲトゲした植物がたくさんくっついていた。
「ああ、ひっつき虫だね」
センダングサ、よくひっつき虫といわれるその植物を、牡丹は子どもの足から丁寧に取り除く。それを見ていたもう1人の子どもも、自分のズボンを見ると、やはり同じようにたくさんついていて、慌てて枯れ地から出て来て不安そうに自分のズボンを見て手で払い出す。牡丹はもう1人の子どものひっつき虫を取ると、この枯れ地にはもう入らないようにしよう、またつくかもしれないからと、2人に伝えた。
(ひっつき虫なんて、こんな所にあったっけ)
そんなことを考えながら、また畑の中だけで子ども達と蝶々を追いかけていると、牡丹の父がやって来て、子ども達に蝶々は取れたかい?と聞く。その後、畑の隣の枯れ地を指差して、牡丹に話しかける。
「あの隣の枯れた木々がたくさんある土地、あるだろ?あそこはな、元々カズオという長男が待っていた土地だったんだが、生きていたときは綺麗に整理されていたんだが、病気でなくなってな。カズオは妻がいたが、子どもはいなかったみたいでね、引き継ぐ子がいなくてな、それ以降、ずっとあんな状態なんだよ。それでな、こんな状態だからっつうんで、次男のテツオがあの枯れ木をどうにかするからと、言っていたんだ。で、しばらくしてテツオが取り掛かったんだが、ほら、あそこに一番高い枯れ木があるだろ?あれを切ろうとして登ったら、転落して死んじゃったんだよ。テツオは奥さんと別れてるらしく、子どもがいないみたいでな、そんで、今度は三男のミツオがあそこを引き継いたんだが、今度はミツオが道路で事故にあって死んじゃったんだよ。ミツオは結婚してなくてな、で、今は相続の関係で話してるらしいんだけど、結局あのままなんだよ」
あの土地は呪われてる、引き継ぐと決まった途端、皆んな死んでるから、絶対呪われてるよ、怖い、と父に言うと、父も無言で頷いていた。
と同時に、そんなことも知らず、先ほど自分の子ども達が足を踏み入れたことに、牡丹は恐怖を覚えるのだった。
だが、幸いにも、ひっつき虫が子ども達にくっついたことで、深く踏み入れることはなかった。
そのとき、思ったのだ。もしかしたら、お彼岸ということもあって、祖父祖母が守ってくれたんじゃないか、と。そこに入ってはいけないよ、と教えてくれたのではないかと。
皆さま、いいですか、この土地の相続の話は、作り話ではありません。本当におこっている話です。
そして、祖父祖母に感謝します。
(終)




