表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
半径1kmの神様  作者: ずむずむ
第一章:外れスキルと辺境の村

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

6/23

第五話:夜の戦闘

 最初の悲鳴は北から上がった。

 短く途切れた声。

 父が一人目を落としたのだとわかる。

「北、残り三! 一人は家畜小屋側!」

 俺の声に合わせ、父が村内へ飛び込んだ侵入者を叩き伏せる。

 速い。影みたいだ。

 西では盗賊が倒木を乗り越えようとしていた。先頭三人が詰まり、後ろが押す。渋滞が起きている。

「西、左から二人回る! 畑側!」

 ゲイルたちが動く。

 槍の穂先で押し返し、また下がる。殺しきる必要はない。混乱させれば十分だ。

「見えねえ!」

「何人いるんだ!」

「伏兵か!?」

 暗闇は人を弱くする。

 しかも向こうにはこちらの数がわからない。村全体が起きて囲んでいるように感じているはずだ。

 南では六人が畑道から接近し、水路を踏み抜いた。

「南、二人転倒! 残り四!」

 父が移動する。

 西から北、北から南へ。人間の機動力じゃないだろ。

 ミリアが倉庫で年下の子を抱きしめているのが見える。そのすぐ外へ、北から逃げた盗賊の一人が回り込もうとしていた。

「父さん! 倉庫裏、一人!」

 父の軌道が変わる。

 短剣持ちの盗賊が倉庫へ飛び込む直前、父の蹴りが脇腹に入った。男は壁に叩きつけられて沈む。

 倉庫の中で子供たちが泣き声を上げる。ミリアが必死に「静かに」と抑える。

 そのまま南。

 父は水路を越えた二人を一瞬で落とし、弓持ちに石を投げた。異常な命中率で腕に当たり、弓が落ちる。

「父さん、ほんとに農民?」

「今さらか」

 いや今さらだけども。

 西では後方に一人、冷静に指示を出している男がいた。斧持ち。こいつがまとめ役だ。

「西の後ろ、でかい斧! 賢い!」

「最悪だな」

 ゲイルが吐き捨てる。

「同感」

 ならもっと混乱させる。

「湿った枝に火! 煙を出して!」

 村人たちが急いで枝束へ火を移す。白い煙が西の入口を覆い、盗賊たちの視界を潰した。

「見えねえ!」

「下がれ!」

「押すな馬鹿!」

 いいぞ。

 その中へ父が飛び込む。

「そこ、斧!」

 俺の声で、父の鎌の柄が斧男の顔面へ叩き込まれた。男がぐらつく。返す足で吹き飛ばし、後列を巻き込んで倒す。

 空気が変わる。

 統率が死んだ。

「今! 大声! 囲んでるふり!」

 村人たちが一斉に叫ぶ。

「逃がすな!」

「後ろも回れ!」

「挟め!」

 もちろん挟んでいない。後ろも回っていない。

 だが夜と煙と恐怖の中では、それで十分だ。


 盗賊側が崩れた。

「話が違う!」

「こんな村じゃなかっただろ!」

 そりゃそうだ。今夜のうちはな。

 南の残党も父が片づける。

 そして西の奥で、新たな五人が動いた。

 その中心に、他より強い気配。

「……ボスか」

 俺は息を吐いた。

「父さん、まだ奥に五。でかいのが一人」

 父の口元が獰猛に歪む。

「やっと親玉か」

「嬉しそうに言うな」

「締まるだろ」

「締まらなくていい!」

 この状況で会話が軽いの、ほんとおかしい。

 でも、その軽さのおかげで俺も頭が回る。

 まだ終わらない。

 だけど、村は持ちこたえている。

 それだけで十分すぎる成果だった。


読んでいただき、ありがとうございます!

もし良ければブクマや評価をつけていただけると、とても励みになります。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ