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半径1kmの神様  作者: ずむずむ
第一章:外れスキルと辺境の村

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第九話:冒険者という道

 盗賊団の件を、近隣の町へ報告しなければならないらしい。

 当然だ。盗賊がうろついていたなら、街道も他の村も危ない。

 そして報告役として父の名前が真っ先に挙がった。

 まあそうなる。盗賊団をほぼ一人で潰した男だ。説明しやすい。

「ギルドにも話を通す必要がある」

 朝食の席で父が言った。

「ギルド?」

「冒険者ギルドだ」

 その単語に、俺の中のファンタジー好き成分が少し反応する。

 冒険者ギルド。魔物討伐、護衛、採集、調査。依頼と人と情報が集まる場所。いいね。

「父さん詳しいんだ」

「昔ちょっとな」

「またそれか」

 母がさらっと言った。

「あなたのお父さん、昔は少し有名だったのよ」

「少し?」

「ほんの少し」

「リディア、それくらいにしとけ」

 夫婦そろってぼかし方が雑だ。

 食後、俺は村を歩きながらエリアサーチを広げた。

 すると南の畑で、見張り役の男がまたサボりかけていた。学習しろ。

 さらに西の納屋の裏では、若い村の青年が人妻と抱き合っていた。

「……あー」

 昼ドラをエリアサーチで視聴したくなかった。

 翌日、その青年が俺の前へ来た。

「レイン、今日の見張り代わってくれないか?」

 俺はにっこり笑う。

「昨日の夜さ」

 青年の肩が跳ねた。

「西の納屋」

 沈黙。

 青年が真っ青になる。

 俺は肩を叩いた。

「見張り、ちゃんとやろうな」

 彼はものすごい勢いで頷いた。

 うわあ。ひどい主人公だ。

 でも便利だ。

 ミリアがそのやり取りを横で見ていた。

「……何したの」

「軽く背筋を伸ばしてもらった」

「その言い方も怖い」

 彼女は呆れつつ、少しだけ吹き出した。

「でもまあ、サボらないならいいか」

 こういうところが助かる。全部を善悪で切らず、結果も見る。

 昼過ぎ、俺は森の縁を歩きながら父へ言った。

「町、俺もそのうち行きたい」

 父が足を止める。

「外を見たいのか」

「うん。それに、この能力、ダンジョンとかでも強いと思う」

 地形、隠し通路、位置、待ち伏せ。

 見えれば、それだけで攻略難易度は激変する。

 父は少し考えてから頷いた。

「戦えなくても役割はある」

「だよな」

「ただし体力と逃げ足は鍛えろ」

「現実的だな」

「お前向きだろ」

「否定できない」


 その会話を、少し離れた所で薬草摘みをしていたミリアが聞いていたらしい。

 夕方、彼女はさりげなく聞いてきた。

「外に行くの」

「いつかは」

「ふーん」

 興味なさそうな声だったが、目だけは少し違った。

「じゃあ、そのうち私も行くかも」

「何しに」

「決まってるでしょ」

 そこで彼女は言葉を切る。

 何かを隠した顔だった。

 その時、頭の中の地図で、村外れの丘に毎日同じ時間、ミリアが一人で通っていることを思い出した。

 何をしてるんだろうな、と、その時はまだ考えるだけに留めた。


 冒険者。

 ギルド。

 外の世界。

 この能力はたぶん、村の中だけに収まる器じゃない。

 嫌でも、もっと大きな場所へ俺を連れていく。

 そんな予感が、静かに膨らんでいた。

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