第九十二話 止める覚悟
マグヌムに向けて鋭い切っ先を向けたグローリアは、その勢いを緩めることなくマグヌムに向けて剣を動かし続ける
空気を、空間を、その全てを切り裂き、足と剣を、前に進ませ続ける
割れる空気も関係ない、目の前にいる化物を止める、今はそのためだけに、剣を振るう
「これで、終わらせ...... っ!」
だが、その剣は、マグヌムを止めるためにはほんの少し、足りなかった
暴れ狂うマグヌムの体に剣を向けるが、ほんの隙間を狙った攻撃では正確に体を狙うことが出来ず、命中したのはマグヌムのその腕であった
骨まで届くことはなくとも、肌、血管、筋肉に傷をつけ、大きなダメージは与えられる
しかし、痛みが無い中、その程度で止まるマグヌムではない
余ったもう一方の腕を動かし、グローリアの顔面を殴る
思考も無く、マグヌムが反射で行った攻撃
グローリアの脳を揺らし、マグヌムの腕にも甚大な被害を与えたそれで、グローリアは遠くへと吹き飛ばされた
風を切り、人とは思えぬ速度で空を移動する
そして、イーデムの横を通り過ぎ、意識を失って地面に倒れた
「...... っ!義兄さま!!」
空中へ浮かんでいたクラウィールも、一瞬にして絶望へと変化した期待を抱えたまま、何も出来ずにその光景を眺めていた
っ......!
ダメだ!感情的になるな
グローリア義兄さまは脆くない、まだ生きているはずだ
だけど... オーケストラが無くなったとはいえ、三人同時は...
いや、やってやる
二人を、クラルスを、僕が助けてみせる
決心と、止める覚悟を決めたクラウィールは、空にいながら体を動かす
少しでも諦めないように、抵抗する
そして、クラウィールは風から降りた
覚悟を失わないうちに、マグヌムと、幻想局を止めるために




