第九十一話 想定外
─後ろから、引き寄せられる
そしてその直後に、後ろから空気が押し出してくる
それらを利用して、前のみを見つめて進む
元凶と言われた者に向かって、走り続ける
そんな中、グローリアは気づいた
…マグヌムの、違和感に
「... 彼は、違うのか...魂と肉体が」
少しだけの動きの歪さ、それが抵抗しているよう
そんな、些細な出来事に過ぎないが、グローリアが理解するには十分であった
それを知覚した瞬間、グローリアの動きは目に見えて変化した
マグヌムの、抵抗による少しの隙、針に糸を通すような狭く細いその隙間を、グローリアは正確に狙い、少しづつ、マグヌムとの距離を詰めていく
抵抗されながら、グローリアの様子を伺い、イーデムとスペクラートに命令を下す
肉体はボロボロで、動けているのも奇跡なほど
それに加え、今までに無い程のマルチタスク
すでに、マグヌムの肉体と精神は疲弊しきっており、指揮し、思考を続けるのも限界に近かった
... このままだと不味い
精神を操ろうとしても、本気で殺しに行っても、まるでグローリアには効果が無い
なぜだ、なぜ効かない、幻楽器の存在すら知らなかったはずのあのガキは、なぜあそこまで抵抗出来るんだ
... いや、そもそも、ここまで暴れ狂った肉体も悪い
ただのトラウマに、僕がここまで翻弄されるとは
自身のことすら制御できない、こんな貧弱な肉体が
そんな、珍しく無駄な思考をしていた時、再びマグヌムにとってあり得てはならない事態が起きた
「グローリア!やれ!止めろ!」
響き渡るのは、クラウィールの声
唯一風を貫通し、演奏を越える大きさの音が、マグヌムの耳を貫いた
思考をしている時、いつの間にか目の前まで迫っていたグローリア
少しでも何かできないか、その思いで叫んだクラウィールは、見事にマグヌムを妨害することに成功した
「あ...... あぁ.........!!
止...... トメ...... トメテ、ミロォォォォォ!!」
その言葉に反応したマグヌムは、指揮棒を手放し、頭を抑え、体が暴れ始める
先ほどと同じように、制御を忘れて




