第八十三話 メミニ
マグヌムに誘われ、数日が経った
その間は毎日のように会い、幻想に関することなど様々な話を聞いていた
そして、ある日幻想に行くから着いてこいと、言われるがままに着いていった
そして案内されたのは、過去に消されたはずの、ルダスの闇となる場所だった
煉瓦で作られた闇の中を歩き、その内一つの扉を開く
そのとき、美しい鐘の音が鳴り響き、気がつくと空の色が幻想的なものに変化していた
気がつけば空中へ放り出されたものの、後ろから広がった灰色の光に包み込まれ、私はどこかの地面に立っていた
幻想の世界と呼ばれたそこで、私はマグヌムに、とある小屋へと案内された
そして、そこにいたイーデムという男が、出会って間もなく楽器を奏でた
…それは、確かクラリネットだったはずだ
その瞬間、私は全ての思いを失った
恨み、怒り、喜び、言葉に加え、感情すらも私の精神から出ていってしまった
それからは、疑うことを一切せず、ただマグヌムの命令を聞いて動くだけだった
失敗すると精神を攻撃され、たとえ幻想の世界であろうと、私はだんだんと、記憶と共に私自身を失っていった
……そうだ、メミニだ
メミニ、父の遺言
記憶を戻すための、そうだ、ルダスの言葉だ
ルダスの民なら知らぬものはいない、過去と現在、全ての記憶を復元する合言葉
私は、ここに居るべき者ではない
復讐のために、私はルダスへ向かわなければならない
だが、その前にやらなければならないことがある
目の前の少年へ、私を思い出させた、責任と感謝を




