第六十一話 最低限の戦力
「それで、何の用ですか?義兄さん」
寝転んだままのウィルスール義兄さまが、そう尋ねる
「それに関しては、クラルスから話を聞いたほうが早いと思うから、クラルス、任せたよ」
クラウィール義兄さまはそう言うと、自分をウィルスール義兄さまの近くまで引っ張った
「どうしたんだ?クラルス」
そうして、自分は三回目となる話を義兄さま三人の前で話した
ウィルスール義兄さまは上二人の義兄さまと違い、話している内容一つ一つに激しく反応していたため、後ろにいた、グローリア義兄さまが堪えていた笑いが、漏れているのが伝わった
「…なんだか、よく分からない」
「まぁ、とりあえず協力者になってくれってことだ」
「ウィルスール義兄さま、お願いします」
「僕からも、お願いするよ」
自分が懇願していると、ウィルスール義兄さまは口を開いた
「……わかった、クラウィール義兄さんもいるなら、信じるしかないな」
そうして、ウィルスール義兄さまという三人目の戦力の確保に成功した
「それにしても、そんなに切迫した状況なのに、なんで騎士団じゃなくて自分とか義兄さんに頼んだんだ?」
「それは、時間がないからです」
確かに、最初は騎士団や傭兵達に頼んで参加してもらうという手も考えたが、制限時間は三日間しかない
それに、ナルヴィー領には騎士団がいないため、頼むとしたらミセル子爵やノーット侯爵に協力を仰ぐ必要がある
無論、そんな時間があるはずもないため、最低限でも真正面から戦って止められる可能性のある戦力に、今協力者となることを誘っているのだ
義兄弟の中でまともに戦えるのはこの四人しかいない
子爵は現在病気を発症中、なので必然的にこの四人で戦うことになるのだ
ちなみに、領民に協力を仰いだ所で、義兄さまのカリスマを含めても信じて貰える可能性が低いので、そちらも諦めた
一度試してみても良いが、ホラ吹き呼ばわりされて子爵に迷惑がかかるのは避けたい
「それでは、もう少し踏み込んだ話をしますね」
作戦会議のため、倒れたウィルスール義兄さまを取り囲んで、四人で話し合いを始めた
踏み込んだ話、幻想局に関してや、その目的、幻楽器の恐ろしさ、などを話し、それを踏まえた上で、この短い間に何を用意するのか、作戦をどうするのか、を月が高くに昇るまで続けた
ルシオラ義兄さまが帰ってくると同時に浴場で話し、書庫で話し合う
そして、自分の睡眠欲がかなり高まってきた所で、今日の話し合いは終了となった
明日もまた、手伝いをした後に話し合いをしよう
──絶対に止めてみせる
管弦楽も、マグヌムも
世界の破壊なんて、させるものか




