第五十七話 二人目の協力者
「や、何を話してるんだい?」
久々聞いても安心出来るこの声は、グローリア義兄さまを完全に消し去るほどに、自分に優しく、深く刺さった
「クラウィール義兄さま!」
笑顔でそちらに振り向くと、やはり優しい顔でこちらを眺めているクラウィール義兄さまがいた
「あぁ、クラウィールじゃないか
元気?」
グローリア義兄さまもクラウィール義兄さまに軽く返事をする
特になにかがあるわけではないが、この二人と一緒に会話するのはとても嫌だ
好きな相手と苦手な相手に囲まれて、複雑意外の感情が沸かない
「そうだ!クラウィール、協力者になろう!」
突然、グローリア義兄さまがそう言った
確かに頼もうとしていたし、タイミングも良かったが、やけに協力的ではないか?グローリア義兄さまは
ありがたいが、妖しいと思う気持ちが抜けない以上、どうしても裏があるのではないか、と考えてしまう
先程の人形を見せられて、なにかを考えているとは到底思えないが
「協力者?なんの?」
きょとんとした義兄さまに、自分は一から説明した
前に、幻楽器を見せたおかげか、義兄さまは案外早く理解してくれたようで
「黙っていられる状況じゃなさそうだね
分かったよ、僕も手伝おう」
「本当ですか!」
よかった
これで、最低限の戦力にはなった
だが、やはり出来るだけ話し合いで解決したい
もちろん解決できたら嬉しいが、幻想局がその程度で止まる組織ではない
そうなった場合は…力技でも止めて見せる
マグヌム達幻想局が、どれだけの力を持っているかは定かではない
だが、オーケストラの公演時には幻楽器は全て奏者に渡されるだろう
防衛として持っていたとしても、効果の高い楽器などは世界の破壊に使用するため、あまり強い楽器は持っていないはずだ
それに、幻想局の者はオーケストラのための組織だ
まともな戦力や戦える実力を持っているとはあまり考えられない
子供でも勝てると考えるのはかなり安易だが、それでもクラウィール義兄さまの剣術はかなりの実力だし、グローリア義兄さまも、魔力の使用も出来るようだし、自分も何故か回収されなかったハープがある
これだけあれば、並大抵の大人であれば勝つことは可能だろう
しかも、ここにウィルスール義兄さまが加わってくれれば、さらに強くなる
これで、全面的な戦いになったとしても、なんとかなりそうだ
なぜここまで信頼しているかというと、クラウィール義兄さま、ウィルスール義兄さま、グローリア義兄さまの三人は、剣術の訓練をしているからだ
義父の知り合いである元剣士の領民や、本の内容を読み込んで、昔から定期的に訓練をしている
その中でもウィルスール義兄さまは、自主的に筋トレや訓練を行っているため、年上のクラウィール義兄さまにも余裕を持って勝利出来る実力だった
自分も、そんなクラウィール義兄さまに頼み込んで、一緒に訓練したり、義兄さまから教えて貰ったりしている
だが、本気で戦ったことがあるわけではないので、実際には賭けになる可能性が高い
だが、それでも、やるしかないのだ
世界を、守るために




