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第五十五話 長男の用事

「やあ、クラルス」


義姉さまと別れた後、昼間にも聞いたあの妖しい喋り方で、自分の名を呼ばれた

いったい何の用だというのだ、グローリア義兄さまは


「なんですか」

「冷たいね、ま、そこがクラルスらしいんだけど」

義兄さまは、自分の態度を特に気にすることもなく、普段のような妖しい様子で話を続けた


「見てたんだけど、すごいね、クラルスは

ラクリマがあんなになっても、すぐに治っちゃうんだもん、才能あるんじゃない?」


「…皮肉ですか?」

言葉になんの重みも感じない

やはりこの義兄は、なにも考えていない

それが、やはりどうしても好きになれない


「正直な意見だったんだけどなぁ、ま、いいか

今話したいのはそれじゃない」

グローリア義兄さまが、どこか真剣な表情になった…気がする

普段の笑顔が少し強ばっただけなので、やはり妖しい雰囲気がまだまだ残っている


「世界の危機について…話をしよう」

!、そうだ、義姉さまと話していたから忘れかけていた

元々、自分がグローリア義兄さまと話す必要があったのはそれのせいだ


三日─いや、正確にはあと二日と少しの時間しか残っていない、幻想局のオーケストラ

それを防ぐために、少しでも万全な準備をする必要があるのだった


「…自分はもう全部話しましたよ」

詳しい追及を求めてくる可能性を考え、先にそう言った


正直に言うと、幻想の世界の話はまだしていなかったのだが、そこまで話してしまうとただの妄想だと一蹴される可能性が上がる


ある組織が世界の破滅を目論んでいるのを知ったから協力して欲しいと言うのと、別の世界にいる組織がこの世界の破滅を目論んでいるから協力して欲しいというのとでは、圧倒的に前者のほうが説得力があるだろう


幻想の世界については、協力してくれる者が集まった時にでも連れていけばいい


そう思っていたのだが…



「いや、話したいのは協力者についてなんだ」

「え?誰か見つかったんですか?」

少し想定外の内容だ

グローリア義兄さまが、そんなに積極的に協力してくれるとは思っていなかった

とはいえ、少しの期待を持ったのは間違いない


だが、次の返答で自分のグローリア義兄さまに対する評価は完全に元に戻ってしまった

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