第五十三話 家事
早速動き始め、用具を用意し掃除を始める
埃を落としてゴミを集め……
……水拭きしてから乾拭きをして完成だ
そして、これを屋敷にある階段の数だけやることになる
屋敷の階段は三つ
中央の大きな階段と、東西に一つづつ、大人二人分ほどの大きさの階段がある
今終わったのはその西側の階段で、次は中央の階段だ
ここだけでも少々時間がかかってしまったのに、中央階段はさらに大きい
どれだけの時間がかかるか分からないが、夕食までには終わるだろう
そうして用具と共に中央階段へと向かっていった
クラルスが、去った後の隅々まで磨かれた階段は、まるで新居のように輝いており、クラルスの几帳面さを正確に表しているようだった
約1時間もかけた階段を見た使用人は、あまりの美しさに、そこを歩くだけで気分が弾んだらしい
─数時間をかけて、全ての階段の掃除をし終えた
かなり綺麗になったと思うが、どうせすぐ汚れるのであればここまで細かくする必要がないのでは?と、三つ目の掃除を終えた時に気がつき、思い付かなかった自分に少々腹が立っていた
だが、自己満足出来たのならば良かったのだと思い、怒りはすぐに収まった
「ふへぇ、すごぉい!
こんなに綺麗になるものなんだ!」
丁度、ラクリマ義姉さまの掃除も終わったらしく、自分の階段を絶賛してくれた
その後はすぐに夕食となり、いつもと違って、オーウィ義姉さまが作った料理もこの大きな机に乗せられている
内容もかなりのもので、ローストビーフやクリームシチュー、サラダなどなど、栄養バランスとおいしさを両立して作られており、どこからどう見ても趣味の範疇を越えていた
見ただけでもかなり満足できそうな料理を早速取り分け、急かされている訳でもないのに急いで口に放り込む
ローストビーフは、旨味がしっかりと閉じ込められた肉に、それを引き立てる極上のソースがかけられており、それぞれ単体で食べても絶対に満足出来るものを同時に食すことで、さらなる旨味を教えてくれる
肉という食材の更なる真髄を見た心地だ
それだけでなく、クリームシチューも、様々な具材から染みでた旨味を甘味と共に調和させた、まろやかなスープがとても美味で、野菜や肉の美味しい部分だけを一度に飲んでいるようで、とても贅沢な気分になる
サラダは、野菜が中心となっているにも関わらず、ドレッシングと混ぜ合わせることによって、普通に食べても美味しい野菜が、更なる扉を開かせてくれる
塩辛い訳でも、甘過ぎる訳でもないドレッシングはまさに完璧な配合で、味だけをみるならば、まるで野菜だけを食べているとは思えないほどであった
使用人が作るいつもの料理も美味しいのだが、オーウィ義姉さまが作る料理は別格で、まさに美味そのものを味わっているようだ
素晴らしい料理で、舌も心も満たされた
それは皆も同じのようで、全員の表情が明るく元気になっている
そして会話も弾み、いつもならば距離を取ったりしている義兄弟も、楽しそうに会話に参加していた(主にラクリマ義姉さまが)
義父さまと義母さまがいないのは少し寂しいが、たまには義兄弟だけの食事も悪くないかもしれない
そう思った夕食時であった




