第五十二話 四番目
グローリア義兄さまが言っていた、ラクリマ義姉さまのいる所へ歩いている
ラクリマ義姉さまはナルヴィー子爵の二人目の実子で、義兄弟の中では四番目にあたる人だ
義兄さまと同じように髪には白いメッシュが入っており、やはり優しい目をしている
性格も、基本的にはクラウィール義兄さまと同じように優しいのだが、時々不安定になったり、クラウィール義兄さまを避けたり、ナルヴィー家の中でも少し異質な人だった
先日、義父さまと義兄さまがミセル子爵の屋敷にいっていた間は、いつも以上にいきいきとしていて、それがどこか不気味にも思えていた
オーウィ義姉さまと仲が良いらしく、夕食時も二人で談笑しているのをよく見かける
ただ、やはりクラウィール義兄さまとは一切の会話を拒絶しているようで、ほとんどの場合は無視を決め込んでいた
なぜそこまで嫌うのかは分からないが、その点を除けば基本的にいい人なので、どちらかといえば好感を持っている
そんな事を考えながら一階の廊下を歩いていると、バケツと雑巾を地面に置き、背伸びをしながら柔らかそうなブラシで窓枠を掃除している、ラクリマ義姉さまを発見した
「ラクリマ義姉さま!」
「…うん?」
声でこちらに気がついたラクリマ義姉さまは、掃除中のブラシを持ったままこちらに走ってきた
「クラルス、やっと目が覚めたんだ
たまにそうやって遅く起きてるけど大丈夫?ちゃんと健康的に寝れてる?」
オーウィ義姉さまよりも母親みを感じる
これほどまでに温かな優しさは、義母さまよりも義姉さまから貰った回数のほうが多い気がする
「大丈夫です!
それより義姉さま、自分になにか手伝えることはありませんか?」
「手伝い?大丈夫だよ、私だけでもこれくらい
それよりも、クラルスは庭で皆で遊んでおいで」
どうにも、この人からは自分は少し…いや、かなり幼くみられている
いや、実際には七歳なので間違ってはいないのだが…
だが、自分は他の義兄弟達からは認めて貰っているし、使用人からもかなり信頼されている
もう少し大人として扱ってくれてもいいと思うのだが…
マーテル義姉さまもいるのだし、仕方ないといえば仕方ないのかもしれない
だが、このままではどうしても気が済まない
自分勝手だが、こんな時間まで寝ておいて大丈夫で済まされるのはマーテル義姉さまくらいまでだ
自分は、体は幼くても精神は成長済みだ
ならば、自分は出来ることをしたい
クラウィール義兄さまと同じように
「そこをなんとか!自分も何か手伝いたいんです!」
なんども懇願していると、自分の熱意が伝わったのか、あるいは根負けか、義姉さまはやれやれといった表情で、自分に出来ることを教えてくれた
「わかったよ、そこまで言うなら
それじゃあ、階段の掃除を任せてもいいかな?
埃を取って、ゴミを掃いて、手すりから裏側まで水拭きをするの」
「わかりました!ありがとうございます!」
自分は、笑みを溢しながら返事をし、用具を取りに走り出した
「こけると危ないよー!」
義姉さまの忠告もあまり耳に入らず、自分はラクリマ義姉さまから与えられた仕事をこなすため、快い気持ちで足を進めている
昨日の、幻想局の仕事とは比べ物にならないほど、義兄弟のために、この家のために、熱心に仕事に取り組めそうだ




