第四十九話 開催日程
メミニに改めて感謝と別れを告げ、先程の仕事に戻った
特に目新しい事は起きず、淡々と幻楽器を運び出していく
スペクラートも一切声を出すことなく、同じように幻楽器を運んでいる
ようやく最後の一つを運び終えた時、狙ったかのようなタイミングでイーデムが戻ってきた
いや、実際狙っていたのだろう
そうでなければ、あまりにもタイミングが良過ぎる
それに、イーデムの手には鐘が握られているため、自分を帰らせるために戻ってきたのだろう
「お疲れ様です、今回の仕事は以上になります
それでは、帰宅されますか?」
当たり前だ
幻想の世界は嫌いではないが、やはり幻想局は大嫌いだ
自分に楽器を運ばせたり、オーケストラのメンバーの代わりにしたり、やることが無茶苦茶すぎる
さっさと家のベッドで眠りたい
─ただ、もうすでにオーケストラの準備は整い始めているようだった
この調子だと、1ヶ月の猶予もないだろう
どうすれば阻止できるのだ…
「そういえば、こちらをお渡ししておきます」
はっと思い出したようなイーデムは、腰のポケットから一枚のチケットを取り出した
「……これは?」
「こちらは、世界最高のオーケストラ『管弦楽』のチケットとなりっております
三枚で一名分です
ですので、くれぐれも勘違いされませぬようにお願いいたします」
渡されたチケットは丁度三枚
一名分なので自分用だろう
それよりも日程だ
いつ、どこで、どのように行われるのか、それだけでも分かれば大儲けだ
そのため、急いでチケットの表面、そして裏面を隅々まで見る
そして、書かれていた内容に、自分は驚愕した
幻想局主催 「管弦楽」入場チケット
そう始まったチケットには、日程や場所が特殊なフォントでしっかりと書かれており、場所はやはりこの幻想の世界のホールだ
そして、日程
そこには、"四日後"の日付が書かれていた
何度も繰り返して目を通す
だが、やはりそこには四日後の日付が書かれている
その瞬間、自分の体から嫌な汗が吹き出た
─四日後に、この世界は終わる
準備をする暇もない
防ぐことが出来るのか?
この、限られた短い時間で
─周囲の音が一切聞こえない
防ぐために…
どうすればいい?
自分一人で?
時間がない
時間が惜しい
どうする?どうしたら?どうすれば?
「……ス…」
誰か
助けて…
「……ルス…ま」
マグヌム達を…
止めてくれ…




