第四十六話 断れず
「……ふぅ、
すまないね、落ち着いたよ
君のような才能のある人物こそ、この幻想局には相応しいと思ったのだが、揺らぎすらしないとはね
無理矢理するのは嫌いだから、今回はきっぱり諦めるとするよ」
かなりの時間が経過した後、マグヌムは落ち着きそう言った
手紙であんな脅しをしているにも関わらず、無理矢理が嫌いとは、一体なにを言っているのだ
どちらにせよ、自分は幻想局に参加する気は一切ない
たとえ自分の命を失ったとしても、殺人の助長は絶対にしないと、自分は心から叫ぶだろう
「それじゃあ、次の仕事を依頼しよう」
「…え?これで終わりじゃないんですか?」
「元々はこれだけのつもりだったんだけどね、少し大事な用が入ったから、僕はここを空けないといけないんだ
だから、その手伝いをしてもらいたいんだ
詳しい内容はイーデムに聞いておいてくれ」
投げやりな態度でマグヌムはそう言った
当たり前だが、そんな事などやりたくない
だが、断った時にどうなるかを想像すると、断るという選択肢が頭の中から消えていった
「…分かり…ました」
「よかったよ、それじゃあね」
マグヌムはホールの出口へと向かい、外に出た後は小屋とは反対方向へと向かって歩いていった
その動きは、自分にはなにか焦っているようにも、怒っているようにも見える
そこで一つ感じたのが、マグヌムは現在平穏ではないという確証だった
自分は、マグヌムに言われた通りに、イーデムがいるであろうホールの裏へと足を進める
幻想種達の隙間を通り、足場に意識を向けながら歩いていく
途中で、幻想種の一人に楽器がぶつかってしまったが、まるで人形のように一切反応することなく、その場に立ち続けていた




