第三十八話 魔力
「みんな頑張ったね。───次は昼食を食べて───一時間後だから、それまでに───訓練の用意もしておいてね」
幸い、昼食時にアウロラが指導してくることはなかった、食事時にもいなかったので、別の部屋で食べていたりするのだろう
すると、ルシオラ義兄さまが話しかけてきた。
「ねぇ、クラルス」
「どうしました?」
「あの家庭教師、ずっとクラルスの方を見てたけどぉ、もしかして知り合い?」
「え?見られてたんですか?」
自分は自分の事に夢中だったので気がつかなかった。確かに昨日も自分にだけ個別で話をしたので、変な違和感は覚えていたが…
「そうだねぇ、あの目は普通の相手には見せないよ、家族とか、信頼しきっている仲間にかける目だ
ま、たまたまそう見えただけかもしれないけどぉ」
観察眼とでもいうのだろうか、ルシオラ義兄さまはよく見ている、自分の見えていない所までも、隅々まで見透かされている気分だ
そうして昼食を食べ終えた後には、魔力の訓練とやらが始まった
「まずは魔力の説明から───するね。魔力はエネルギーの塊みたいなもので───そのエネルギーを変換することで───様々な現象を引き起こせるんだ。例えば、炎のエネルギーに───変換して炎を生み出したりね。───ただ、魔力に関してはまだまだ───不明な点も多いし、しっかり練習しないと───使いこなせないからね。」
その後も数十分間座学が続いた
魔力は素手でも流せるが、初めては道具を使用する方が良いということ
魔力を変換することは難しいので、まずは魔力を流す練習をすること
魔力を流すことで、備え付けられた法陣の効果を発動させる、魔道具という物があること(昨日の筒はおそらくこれだ)
…そして今日の目的は、その魔力を流して魔道具を動かすことだ
「それじゃあ───好きなのを選んで。」
アウロラの持ってきた魔道具?は全て人形で、様々な生物の見た目をしており、それぞれの背中には法陣が描かれていて、かなりシンプルなデザインとなっている
そして、前に見た紫に光った法陣とは大きく異なって見えた
アウロラによると、これに描かれている法陣には動かす力が込められており、うまく流れればこの人形は自立することが可能らしい
始めに自分は杖のような物を受け取った
義兄弟達はほとんどが嫌がりながら受け取っており、この後の訓練の厳しさを物語っていた
実際、訓練は相当厳しく難易度が高い
魔力自体、普段から一切意識していなかったので、それを見つけるだけで一苦労だった
魔力はエネルギーの塊、空間いっぱいに存在していて、それを全身で捉えて杖に向かって動かすイメージ
アウロラはそうやって教えてくれたが、正直全く理解出来ない
義兄弟達は何人か人形を動かしていたが、それでも少し動いたくらいで、自立させることなど夢のまた夢だった
─そのまま時間だけが過ぎ、魔力の訓練は終了した
結局動かす事は出来なかったが、自分の周りに存在しているエネルギーは感じられたと思う
自分の精神が押さえ込まれているような、存在していない力、これが恐らく魔力なのだろう
魔力は物質的ではなく、精神的な力に思える
そのため、流すためには、肉体的な力よりも魂の力のほうが重要そうだ
…次回には、これを意識してやってみようと思う




