第三十七話 社交訓練
「はい、それじゃあ───朝ごはんにしましょう。」
十枚目を達成すると、アウロラは義兄弟全員に向けてそう言った
反応する気力もなく、言われるがままに食堂へと向かう
そこには、まさに今用意されたばかりの料理が人数分並んでおり、朝から疲弊した頭と体を出迎えてくれた
「これって…出来立て?」
「はい、アウロラ様がこの時間に用意するようにと仰られたので…」
使用人の一人が、オーウィ義姉さまにそう返した
アウロラの指示で用意したということは、アウロラにはこの時間に訓練が終わることが分かっていたのだろうか?
ということは、昨日来たにも関わらず、もうすでに自分達の実力は把握されているということだ
騎士の訓練と称されるほどの訓練を自分達の実力を把握された上でこなすというのは、限界ギリギリまで挑戦することで、かなりの苦行になることは間違いなかった
休憩時間と思っていた食事中も、食べ方の矯正や礼儀作法の訓練などで埋め尽くされ、安心して食事をすることもできなかった
今回特に目をつけられていたのは、やはりウィルスール義兄さまで、食事が速すぎる、一度に多く食べすぎ、持ち方が汚いなどと指導されている
正直、細かすぎないか?と思ったが、他の義兄弟は目を背け、普段以上に気を使って食事を終わらせた
食後に一時間の休息を取り、次は中庭に移動する
「それでは───昼までは個別指導になるから、───とりあえず男女で───別れて。」
いつの間にか戻ってきていたマーテル義姉さまがいる女性陣には、針金で出来たドレスの骨組みが人数とサイズを合わせて置かれていた
自分達男性陣には、やけに整ったタキシードが、こちらも人数とサイズを合わせて置かれていた
「貴族に必要な───社交性、それを生かす場というのが───社交界だよね
だから、社交界での───礼儀作法をこれから教えるよ」
普段はクラウィール義兄さまから教えてもらっていた内容だ
とはいえ、義兄さまのように基礎的なことをじっくりとではなく、今すぐ参加できるように早く厳しく教えられるのだろうが
タキシードに着替え、まずは足の動かし方を覚えた
少しでも間違えると風の力で石を飛ばされるため、集中して覚えた通りに体を動かし、30回を越えてやっと成功となった
次は上半身と共に女性をエスカレートすることだが、こちらにいたってはまったく出来ることなく、続けていたら午前の訓練が終了した
女性陣の方を見る暇がなかったので後で話を聞いてみると、だいたいは自分達と同じように足運びから上半身へと訓練していき、男性からより魅力的に思ってもらう方法なども教わったらしい
詳しく聞いた後には、その方法だけは、マーテル義姉さまだけは下手に真似しないでくれ、と心の中で強く思った




