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第三十話 巨大な穴

平原だったはずの周囲は、クレーターのような巨大な穴が無数に空いており、大きさは違えども、そのどれもが完璧な円形を作っていた


そして、自分とカミラは、その中でも特に大きな穴の中心に立っており、身長の5倍はある地面を見つめていた


「……え?」

カミラは唖然としている、自分もそうだが、カミラはそれ以上に驚いていたのだろう


「クラルス…ここ、どこ?」

「えーっと、異空間みたいな所…かな」

「いくうかん?」

幻想の世界であるというのは少し説明が難しいし、カミラに理解しろというのも酷だ

そのため、現実とは別の世界ということだけ伝えた


それにしても、なぜここだけこんなに地形が砕けているのだろうか?

自分と同じように幻楽器の実験でもしていたのだろうか?


こんなに地形を壊すことなど、確かに幻楽器を使えば簡単だろう


それにしては正確すぎる気もするが、マグヌム達はそのように扱う力でも持っているのだろう


そして、自分達は少しでも平らな場所に移動した

とはいえ、やはり穴だらけであることには変わりないため、周囲少しが平らなだけだが


「どうするの?」

…そうカミラに問われた時、自分は何も答えられなかった


幻想の世界に来たのはいいものの、特にこれといってすることがない

この鐘は移動しか出来ず、持ってきた物も大した物はない


困った

困り果てた

だが、実験のためにはより長くここに居ておきたい


─実験とは、この幻想の世界での時間の流れや、地形に与える影響などの、現実に与える影響を調べることだ


まず、地形に関しては影響がほとんどないと分かった

見てわかる通り、この凸凹な地形は現実には影響していないし、逆に現実からは子爵の家の跡がない


時間に関しては、前回数時間いたにも関わらず、外の光景の変化が見られなかったということだ

眠気で朦朧としていたため確証はないが、実験するに越したことはない



さて、このまま何もしない訳にもいかないが、どうしようか

思考に意識を回していた自分は気づかなかったが、カミラは何かに気がついたらしい

「ねぇ……あれ、なに?」


「え?」

カミラの言った先を見つめる

 

そこには影がある

何もない場所に、たった一つ影がある

不自然としか思えないその影は、自分達が見つけたと気づいた瞬間に動き始めた

 

自分達に近づいてきている、それはカミラにとって今まで感じてこなかった恐怖そのものであった


涙を流し、体を震わせ、自分にしがみつく

そんな中でも、自分は大きく感情が動くことはなかった


影はゆっくりと近づいてくると同時に、上にも膨らんでいった


黒い影がだんだんと大きくなり、自身と同じ大きさに、それ以上に大きくなり、やがて成人男性の人型にまでなっていった


その後は、影の内側から染みだしていくように色が染まっていき、肌に、髪に、目に、服に、ゆっくりと色がついていく


その姿はマグヌムのようでありながら、髪の一部や服の装飾などは、まったく違う見た目となっていたが、そのどれもが自分や幻想局のメンバーの要素をそのまま写しているようだった




「メミ…ニ………」

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