第二十五話 最年少
帰宅後、クラルスは一気に眠気が襲ってきたため、すぐに寝室に移動し、そそくさと眠りについた
翌日や今後の予定など一切考えず、欲に任せて頭を休める
翌日目を覚ました時には、相変わらず強い光が差し込んでいた
真上から降り注ぐ強烈な光に、改めて今が昼間だということを自覚する
「あぁ…今度こそ怒られるのか…」
父からのお叱りを受けるのはやはり嫌だ
初めてではないのだが、子爵の説教は怒られる恐怖ではなく、子爵が怒っているという恐怖なので、下手に幽霊を見るよりもよほど恐ろしい
前回のようにクラウィール義兄さまが助けてくれないかと一縷の望みにかけながら、扉についたドアノブをひねる
そして扉を開く
だが、そこには誰もいない
当たり前だ、わざわざこんな時間に寝室にいるような人物など自分くらいなのだからな
だが、そう思ったのも束の間、遠くからこちらに向かってくる足音が聞こえた
全力疾走の勢いで走っており、いくらこの屋敷が広いとはいえ迷惑になることは間違いない
まぁ、こんなことをする人物は一人しかいない
自分の半年だけ年上の義姉、マーテル義姉さまだ
年上とはいえまだ七歳の子供だ
自分のように中身だけ成長しているわけではないので、実質的には家族の最年少となっている
実際、自分はかなり大人びていると言われて一人での行動も可能だが、マーテル義姉さまには専属の使用人がつくほどに元気溌剌な暴れん坊だ
あまり関わりたくはないのだが、気づいたときにはもう遅かった
「おとーと!あそぼ!」
いつもなら専属の使用人が側にいるはずが、今日に限って誰もいない
「義姉さま、使用人達はどうしたんですか?」
自分よりも年下に接するように、優しく話しかける
「ぱてるはねてるよ!」
パテルとは専属の使用人の事だろう、寝ているということは風邪でもひいているのだろうか?
どちらにせよ頼ることは出来なさそうだ
「しかたないですね、わかりました、遊びましょうか」
「ほんとに!?やったぁ!」
てんしのようなえがおをむけられると、じぶんのこころのつかれがふきとんだようなきがする
「じゃあ、じゃあ、あのことあそびたい!
…あるく?」
「アルブですね、それじゃあ中庭に向かいましょう」
自分はよく、アルブと遊んで楽しんだりもするが、移動が制限されているマーテル義姉さまは、あまりアルブと遊ぶ機会もなかったのだろう
せっかく縛っていた人がいないのだ、今日くらいは好きに遊ばせてあげてもいいだろう




