第二十二話 目的の詳細
「さて、他にはなにかありますか?」
「それじゃあ…」
息を深く吸い込み、覚悟を決める
この後に何が起きたとしても、自分はそれを知る必要がある
自分のために
家族のために
世界のために
「…この組織の目的、最高の管弦楽とはなんですか」
「……」
黙り込む、表情を固めたまま、イーデムは一切の音を発生させない
「……あの」
数十秒間、まるで時が止まったように停滞する会話に、その一言を投げ掛けた
すると、凍りついていたイーデムの時が動き出した
「管弦楽……に、ついてですか…」
その後も数秒の沈黙があったが、すぐにイーデムは語り出した
「すみません、私も全てを把握しているわけではないのです
ですが、私がマグヌム様から聞いた限りでは、幻楽器を使用した世界最高で最後の管弦楽と仰っていました」
最高で、"最後"
やはり、自分の考えは当たっていそうだ
世界最後、それは、この幻想の世界ではないだろう
幻楽器を利用した、自分達の世界の破壊…
止めなければならない
世界を救えるのは、自分しかいない
「…マグヌム様が帰宅されるまでまだ時間がありますが、どうされますか?帰宅なされますか?」
いや、帰宅はまだだ
阻止するためには武器も情報も足りていない
「…いえ、マグヌム様と少し話したいです」
「そうですか、ではもうしばらくお話しましょうか?」
「大丈夫です…」
イーデムはその後、特に反応を見せることなく、そのまま眠ったように動かなくなった
よく見ると、椅子に座る三人は、まるで死体のように全く動かない
見つめていると、胸を締め付けるような恐怖が体を包んできた
─この三人は、本当に人なのか?本当に"生きている"のだろうか?
することもなくどうしようか考えていると、壁にかけられているいくつかの幻楽器らしきものが目に入った
その幻楽器には統一性がなく、様々な種類の楽器が飾られている
その中の一つには、自身が持ってきた鐘と同じ外観をした楽器も飾られていた
幻想局の情報を得るためには、移動手段も必要だ
それに、こんな組織相手に七歳の自分が手段がどうこう言っている場合ではない
そう、自分を思い込ませ、バッグの中から慎重に鐘を取り出す
この行為が悪だということは分かっている
だが、やらなければならない
世界を守るために、必要な行いなのだ
自分は、目の前にある鐘に手をかける
腕に力を込め、一気に横に動かすと同時に、もう片方で持っていた鐘を台座に乗せる
心のどこかでほっとしつつも、罪悪感で押し潰されそうになる
本質的には座っている奴らと同じだ
だが、奴らは欲だ
自分は正義だ
それが、それだけが、自分の行動を肯定する、ただ一つの思いだった




