第二十一話 次の質問
次の質問は、義姉さまから聞いた噂についてだ
噂が広がるということは、噂の始まりがある
その噂の発端は、確実にこの組織のことだ
ということは、他にもこの世界に迷い混んだ人達がいるというわけだ
「他にも自分みたいにこの世界に迷い混んだ人っていますか?」
「……」
イーデムは顔をしかめ、空席の椅子に向かって歩きだした
「…だから……だから言ったんだ!あいつは殺しておくべきだったと!!」
そう言い放つと、椅子を蹴り倒し唾を飛ばした
「クソッ…………いや、大丈夫か…もうすでに運び出しは終了している…」
怒りに震えていた声は一瞬にして冷静さを取り戻し、改めて元の椅子に腰かけた
「失礼しました、申し訳ありませんがその質問にはお答えしかねます」
まるで何事も起きなかったかのように答え、次の質問に向けて体制を整えた
半分答えを言ったようなものだが、イーデムは一切気にしていない
ならば、次はルダスについてだ
何故ルダスの事についてそこまで詳しく知っているのか、そして幻楽器とはなんなのか、何故あんなことをしてまでルダスに向かったのか、それらを全て尋ねた
「急がなくても、まだまだ時間はあるでしょうに」
しまった、一度に多くのことを聞きすぎたか…
だがイーデムは嫌がるどころか、むしろ語りたくて堪らないかのように意気揚々と話始めた
「まず、私達がルダスのことを詳しく知っている理由ですが、これは単純ですね、私達がルダス出身というだけです
ここにいる三人は皆、マグヌムさまに惹かれて集まった面々ですので、全員ルダスについては他よりも詳しいのです」
なんとなく、分かってはいた
何故あそこまでルダスに詳しいのか、生まれ故郷であるのならば納得できる
「そして幻楽器ですね、幻楽器はルダスで創られた特別な力を宿した楽器の総称です
アルカナカンパニュラは、この幻想の世界に入るための鍵
アルカナストリングスは、力を生み出す力
こののように、様々な力が宿っているのが幻楽器です
誰が、なんのために創ったのかは、私達はおろかルダスの民に知るものはいません」
力が宿った楽器だということは分かった
だが何故、製作者や目的が不明なのだろうか?
意図的に隠しているのだろうか
だとしても、先程運び出した楽器も幻楽器だとすれば、オーケストラなど演奏した日にはとてつもない大事故が起きてしまうのではないのか?
もしそれが狙いなのだとすれば、絶対に阻止せねばならない
何を考えているのか分からないこの組織ならば、それを起こす可能性は充分にある
「最後に、ルダスに向かわせた時の方法についてですが、ルダスには外界から隔離するための透明な結界が存在しています
そのため、無理矢理幻想の世界からルダスの敷地に送ったというわけです
ご覧になったであろう紫の法陣は、重力を発生させているため安全に着地することができたでしょう?
そして帰りの術式もほとんどが彼女の手腕です」
そう言って、イーデムは紫髪の女性を指した
彼女は一切の反応を見せることなく、静かにその場に座り込んでいる
法陣…ということは、やはりあれが術式ということか
重力の発生やワープなど、聞いているかぎり術式はかなり現実離れしている力のようだ
次も、質問だ
知らなければならない、とても、重要な内容について




