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第二十話 暇潰し

一瞬で戻ってきたという実感は一切なく、何故帰ってこれたのか?という疑問が頭の中を埋め尽くす


すると、何事もなかったかのようにキャピオ達は小屋に向けて歩きだした


重い箱を一生懸命運びながらなんとか二人に着いていくも、引きこもってほとんど動いてなかった自分の足はもう限界だ


小屋の地下までたどり着くと同時に、箱を地面に下ろす、そして自分も倒れるようにして地面にへばり着いた


「おかえりなさい、早速だけど中身を確認しますね」

そう言うなり、小屋で待機していたイーデムが箱の中身を覗き込む


疲れはてた自分には一切興味を示さず、ただ楽器のみを確認するのみだった


キャピオも地面に箱を置き、近くの椅子に腰をおろした

女性も同様に椅子に座った


そのとき初めて見た女性の顔は、かなりのメイクが重ねられており、美しくなるためというよりは自分の顔を隠しているに近かった


二人を眺めていると、イーデムが話かけてきた

「初めてのルダスはどうでしたか?」

「……え?」

あの煉瓦の道の事だろうか?

いや、そこ以外に考えられない


それよりも、あそこが空中都市ルダスであるにもかかわらず、一切の説明を受けなかった事に驚いた


「…ご存じなかったのですか」

イーデムはキャピオに向かって呆れたようにため息を吐く

 

「せっかくですし、マグヌム様が帰宅されるまで話でもしましょうか

今夜は遅くなるそうですし」

イーデムはただの暇潰しのように語ったが、自分にとっては疑問をいくらでも聞いてくれという絶好の場としか思えなかった


「じゃあ、質問してもいいですか?」

「はい、なんでもどうぞ」


なんでも質問しても良いといわれると、まず何を聞くべきか分からなくなる


無数にある候補の中から、自分はまず芯となる話を聞くことにした

「まず、この世界ってなんですか?あと前にいたあの人達は誰ですか?」


マグヌムが幻想の世界と呼んだこの世界

これまで自分と幻想局の面々、そして大きな真珠の耳飾りの女性を除いて他の人を一切目にしていない


これはどういうことなのか、幻想局や幻楽器、ルダスなどの様々な疑問は、これを聞くだけで理解が容易になるだろうという考えだ


その中でも幻想局にいた人々はやはり気になった

 

「いきなりそこですか…まぁいいでしょう」

渋々という表情で、イーデムはこの世界を語り始めた


「この世界は幻想の世界、我々からすると、幻や想像上の世界ですね、

というよりも、ルダスが見つけた第二の世界というほうが分かりやすいでしょう


ルダスは、新たな科学や魔術を更に広範囲で発現させるために、誰にも邪魔されない広大な実験場を欲しました

そして、規格外の科学力でこの幻想の世界を発見したのです


初めは様々な機械や器具を持ち込んだルダスの民でしたが、とある異変に気がつきました

それは、この世界は元の世界とは全く違う常識が通っているということです、私達の髪が変色したのもその影響です


そのため、ルダスの民はここでは正確な実験は出来ないと判断し、早々に撤退しました

その跡地を私達は利用しているということです」


つまり、ルダスが研究目的で見つけた新しい世界を、幻想局の人達が利用しているということだろう


それにしても、新しい世界を見つけて利用しようとするとは、ルダスはいったい何を目指しているのだろうか


「そして、そこに存在していた自我を持たない生命体、それこそが幻想種の正体です


幻想種は幻想の世界から出ることはできません

そして様々な姿に変化することができ、あの時は人の姿に変化するよう命じていたのです」


「自我がないのに命じられるんですか?」

「幻楽器であれば可能です」

 

一切包み隠すことなく、質問に淡々と答えるイーデム

嘘をついている様子はないが、それが逆に怪しさを増している


そして、この世界から出られないということは逆に、ルダスにいた二人は人間なのだろう、それを率いているイーデムとマグヌムも十中八九人間だ

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